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魔王と元始の罪  作者: 長瀬 優太
全ての始まり
20/25

0:20 孤児院での一幕

ユーグとクレアがメルドの森に代わりに薬草を採ってくるという話がまとまり、ナタリアは、仕事へと戻っていった。


「では、自分達も行ってくるよ」


「気を付けて行ってきてね。あの森は、結構危ないから」


その言葉を受け、休憩所を出てメルドの森へと行こうとした矢先、ユーグ達の出鼻を挫かのように正午を知らせる時鐘が鳴り響いた。


「あら、もう正午なの!! ならユーグ、メルドの森行くのは午後からにしたらどう? セリナが昼ご飯を作ってくれているわ。だから、一緒に食べない? 勿論、クレアちゃんも一緒にね!」


「そうだね、そうしようかな。クレアさんもそれで良いですか?」


「はい、大丈夫です」


こうして、薬草を摘み取りに行くのは午後からとなった。


「それにしても、セリナちゃん、あのお年でお料理も出来るんですね、私驚いちゃいました」


「そうなのよ、今では、お料理の他に洗濯、掃除に裁縫もしてくれてね。本当に助かってるの⋯⋯クレアちゃんは、お料理はしないの? 」


すると、その言葉にクレアの身体はびっくと震えた。


「も、もちろん出来ます。⋯⋯ただ、その…恥ずかしながら、練習中でして、簡単な料理だけですけど」


言いながら、羞恥により顔を赤く染まった。



「そうだったの ⋯⋯なら、今度一緒にお料理を作りましょうか? 私が、手取り足取り教えてあげるわ!」


「いいんですか!? でしたら、お願いしてもよろしいですか?」


「もちろん良いに決まってるじゃない!」


サーラとクレアが談笑に花を咲かせていると、目的地である孤児院へと到着した。

サーラが入り口の戸を開けると、中からいい匂いが漂ってきた。どうやら、食堂かららしい。


サーラ共に食堂に入ると子供達がテーブルの席に着き、料理を待っていた。台所の方を見てみるとセリナが味見をしてたい所だった。


「あっ、おかえりユーグ兄、お母さん、それとクレアさんも。もうすぐお昼ご飯できるから席についていて。⋯⋯うん、よし」


味見をして満足したのか頷きながらそう言って、料理をテーブルへと運んでくる。ユーグがそれを手伝い、すべての料理がテーブルに並ぶとサーラの「いただきます」に続き、子供達が大きな声でそれを復唱した。それを知らなかったクレアは少し遅れながらも同じく、「いただきます」と言いながら手を合わせた。


「ど、どうかなユーグ兄、美味しい?」


「あぁ、本当に美味しいよ。こんなに美味しい料理なら毎日食べたいぐらいだ」


「毎日⁉︎ そ、それってつまり私と⋯⋯ああして、こうして、ああなって⋯⋯」


そう、顔を赤らめて小声でごにょごと呟いた。


「でも、それにしてもセリナ、腕を上げたわね! 本当に美味しいわ。 これじゃあ、私が料理の腕を抜かれるのも時間の問題だわ」


サーラは上の空になっているセリナを引き戻すのかのように大きな声を出した。


「えっ、本当‼ やった~」


「セリナ何かお願いしたい事があるかい?」


「ユーグ兄、急にどうしたの?」


「 いや、いつも仕事で忙しい母さんや自分に代わって子供達の面倒を見てくれてるし、こんな美味しい料理まで作れるようになったんだから、セリナにご褒美とお礼を兼ねて何かしてあげたいと思って」


しばらく黙り込んだセリナは意を決したかのように口を開いた。


「⋯⋯頭を撫でて欲しい」


「そんな事でいいのか? もっと欲張っていいんだぞ」


するとセリナは首を横に振った。


「うんん、そうして欲しいの」


「そうか、分かった。⋯⋯これでいいか?」


(セリナは、しっかりしているようでまだ子供なんだよなぁ)


そうセリナの頭を撫でながら思い耽るユーグであった。一方で、頭を撫でられているセリナは嬉しそうに頬を緩めていた。

そうこうしている内に、キッチンから何やら甘く香ばしい香りが漂ってよてきた。


「あっ、そうだった。実は今、お菓子を作ってるんだ。出来たら医院に持ってくから休憩中に医院の皆と食べて!」


「それがね、セリナ。これから、ユーグとクレアちゃんにはメルドの森に行ってもらうから、二人は食べれないのよ」


「なんで!? どうしてメルドの森に行くの!?」


「医院の薬草の在庫が無くなりかけているのよ。だから二人に採ってきて貰おうとしてるの」


「そうじぁないよ! わたしが言いたいのは、どうして二人だけで行くのかってこと」


その言葉にサーラを除く一同は頭上に?を浮かべた。

どうやら、セリナは、ユーグがクレアと二人で出かける事に対して反対しているようだ。そしてセリナは親の仇を見る目で恋敵クレアを見つめた。


しかし、それに気づかないクレアがセリナに対して助け舟を出した。


「では、セリナちゃんも私達と一緒に来てくれる? 私も、ちゃんと採ってこれるか自信ないから一緒にきてくれると有難いんだけど⋯⋯」


「それならーー」


「クレアさん、それはダメです。彼処はセリナには危険過ぎますから。⋯⋯セリナはここでお留守番だ」


せっかく見えた光明を潰されたセリナは「ユーグ兄なんて大っ嫌い⋯⋯っ」と、そう言い残し、食堂から出て行ってしまった。


「ユーグ、クレアちゃん。私があの子を説得するから大丈夫よ。二人は、薬草の採取の事お願いね」


そう言葉を発するとサーラもまたセリナの後に続き食堂を後にした。

残された、クレアとユーグは、食べ終わった子供達の世話をし、孤児院を後にした。


こうして、ユーグとクレアはメルドの森へと出かけるのであった。

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