第4話「決着vs土嚢怪人!」
「完成! ギアキング!」
5つのギアが噛み合い、夕日を背に大地を踏みしめる守護神ギアキング。
しかし、その重厚なコクピット内には、合体の感動など微塵もない悲鳴と警告音が鳴り響いていた。
鳴り響く警告音
『エネルギー総量、危険域。合体維持限界時間……約10分』
真っ赤に明滅するコンソールを見つめ、コクピットの5人と5台は唖然とする
「ちょっと待て!? 全員満タンなら30分は持つのに、なんで10分なんだよ!?」
「全員のエネルギー残量の平均値で合体時間が決まるセーフティ仕様だからに決まってるだろ! 誰だ減らしてきたやつは!」
「……すまん。さっきの砂埃を吹き飛ばすのにアフターバーナーを全開で回しすぎた」
「私とイエローは現地までの急行と、レッドが来るまでの応戦でごっそり持ってかれたのよ!」
「ガハハ! 土嚢袋打ち返すのにバケット振り回しすぎたわ!」
「私は架線からギリギリまで充電していましたが現場までの急行で消費しました!」
「俺なんてピットイン直前で連れてこられたから元々残り2割だぞ!!」
人間もメカも関係なく全機で言い訳と責任を擦り付け合っていると、基地のギア博士からどこか気怠げな通信が入った。
『あー、聞こえる? 無事に合体できたみたいだね。……ん? 残量が足りない? いや、合体システムは各機の残りエネルギーを平均化して分配する仕様なんだから、一番減ってるやつに引っ張られるに決まってるだろ。……まあ、あと10分あれば現場のノリでなんとかできるよ。頼むね』
ガチャリと容赦なく切れる通信。
「「「「「あのマッドサイエンティスト野郎ーーーッ!!」」」」」
全員の怒りのシャウトがコクピット内でハモる。
「ハッハッハ! 10分持てば十分だろうが! 砂の身体を持つこの私に、そんな生半可な合体ロボで勝てると思うなよ!」
せせら笑う土嚢怪人が、手当たり次第に巨大な土嚢袋を投げつけてくる。
「時間がない! 押し通るぞ!」
「ワシのアームを風車みたいに回して打ち払ったるわ! いくぞお!!」
右腕のイエローシャベルが超重量のアームを爆速回転させ、飛来する土嚢袋を豪快に弾き飛ばしながら肉薄!
そのままギアキングの巨大な脚が、至近距離で土嚢怪人へ豪快な蹴りを叩き込んだ。
……が、ズブズブと砂の身体に脚が埋まり、全く手ごたえがない。
「ぐわっ!? 蹴り抜けない!?」
「ハッハッハ! 無駄だ無駄だ! 物理攻撃などサラサラの砂には一切効かんのだよ!」
埋まった脚に焦るギアファイブたち。すると再び、モニタにギア博士の顔がヌッと映し出された。缶コーヒーを片手に持っている。
『ちょっと君たち、何やってんの。砂で出来た相手なら水で濡らして泥にして固めればいいだろ。何のために巨大な放水機能がついたピンクラダーを腕にしてると思ってるの? 自分のメカくらい把握してるでしょ普通…しっかししたまえよ』
「「分かってるならさっさと言え!!」」
ツッコミを入れつつも、言われた通りの攻略法にすぐさま乗っかるギアファイブ。
「イエロー! アームの回転をそのまま竜巻にしなさい!」
「任せろ! 竜巻起こして土嚢怪人ごと巻き込んでやるわ!」
「ピンク! 竜巻に向かって全量放水よ!」
「放水開始、噴射ーーッ!!」
イエローシャベルが巻き起こした大竜巻へ、ピンクラダーがタンク内の水を全量ブチ込む!
激しい水流を混ぜ込まれた竜巻が土嚢怪人を丸ごと包み込み、サラサラだった砂の身体が一気に重くカチカチの泥塊へと固まっていった。
「ぬおおおっ!? 動けぬ!?」
そこに再度警告音が鳴り響く
『 合体解除まで、あと30秒!』
「時間がねえ! 一気に決めるぞ!」
「ブルー! スラスター全開で跳べ!」
「了解だ! アフターバーナー最大!」
背中のブルーウィングが爆発的な推進力でギアキングを上空へ押し上げる。
「最後は私の脚で引導を渡します!」
「制動解除! 降下スラスター全開!!」
上空から、両足のグリーンライナーが底部バーニアを限界まで逆噴射&メイン加速!
新幹線の超スピードと重量を乗せた、流星のごとき降下キックが固まった怪人に突き刺さる!
『ギアキング・ライナーインパクト!!』
直撃の瞬間、カチカチに固まっていた土嚢怪人は抵抗の隙もなく粉砕され、大爆発とともに霧散した。
『活動限界です。セーフティ機能により、強制合体解除します』
ドカン!!と弾け飛ぶ大爆発の光を背景に、余韻に浸る間もなくコクピットのアラートが響く。
ガコンガコンと重い音を立て、空中からポロポロと分離して路上に着地する5台のメカたち。
「うわっとっと……! あぶねえ!」
「……相変わらず、勝利の余韻もへったくれもない解除ね」
「格好つかんなあ……。決めポーズくらい最後まで取らせてくれてもええのに」
プシュー……と各機から排熱の煙が立ち上る。
完全にバッテリーが切れたかと思いきや、各機のコンソールにギリギリの灯りが点灯した。
そこへ、基地のモニターからギア博士の顔がヌッと映し出された。
『あ、お疲れ〜。無事に倒せたみたいだね。でさ、各機とも残量スカスカでボロボロでしょ? 戦闘データの回収もしたいし、メンテナンスと補修もやりたいから、全員一度セントラルラボまで回送してきてよ。じゃ、よろしく〜』
「……ん? まだ完全シャットダウンじゃないのか?」
「いやいや。その場で何も動けなくなるのはまずいでしょ、貴重なデータごとやられるリスクもあるわけだし。基地や最寄りの給油・充電ポイントへ自力帰還するための最低限は分配されるようにしているとも」
「「「「「相変わらず手短でドライだなあいつは!!」」」」」
全員でツッコミを入れつつも、補修してもらわなければ明日からの仕事にも支障が出るため、選択の余地はない。
「よし、俺たちは一足先にラボへ自走で戻るとするか」
「あ、待ってブルーウィング! 私たち人間側は……!」
「お前たちは自分の足で普段の職場に戻れ。これ以上余計な重量(お前たち)を乗せて走ったら、それこそ途中でガス欠になる。脅威を倒したのに墜落とかさすがにまずいだろ?」
「ですよねー…」
呆れ顔で見送るパイロットたちを後目に、セントラルラボへと向かって走っていく5台のパートナーメカたち。
彼らの戦いはまだ終わらない!秘密結社ディスラプトを打ち倒すその日まで…
負けるな機動戦隊ギアファイブ!ギアキング!




