第3話「オールギア・エンゲージ!!」
砂煙を切り裂き、タイヤの悲鳴とともに現場へ滑り込んだレッドビークル。
フロントバンパーはボロボロ、車体からは猛烈な熱気が立ち上っている。
「到着だぁぁぁ! ひでえルート設定しやがって! おいレッド、カッコつけて待ってねえで早く乗れぇ!」
「待たせたなレッドビークル! 今行くぞ!」
レース中に抜けて来たため、降りる間もなく運転席で固定されていたレーサーを保護し、レッドギアが代わりに乗り込む。
「あんなルート走行させられたら、意識飛びますよね。ひとまず安全なところへ……」
レーサーを避難させ、操縦桿を握りしめるレッドギア。
乗り込んだ瞬間、コンソールから全機の愚痴と怒号が一斉に爆発した。
「おいレッド! 巨大化させる前になんで倒さねえんだよ! あと1周でコース記録更新だったんだぞ! 責任とれ!」
「そうよ! 巨大化の兆候なんてエネルギー波形で分かるでしょ! なんで毎回巨大化してから呼ぶのよ!」
「まったくです! おかげでこちらは回送ダイヤの微調整で胃が痛いんですよ!」
ピンクラダーとグリーンライナーの便乗に、ギアファイブの面々が口を揃えて叫び返す。
「「「いや、等身大の時に倒そうと必死なんだって……!」」」
「おのれえぇぇ! 揃ったからなんだというのだ! まとめて土嚢のサビにしてやるわー!」
怪人が手当たり次第に投げつける巨大土嚢袋が周囲で激しく爆発!
破れた袋から超大量の砂と土が撒き散らされ、現場は一瞬にして視界ゼロの「濃砂状態」に包まれた。
「ハッハッハ! 視界を奪えば合体などできまい!」
「……フン、愚かな」
そこに上空を旋回していたブルーウィングが垂直降下!
アフターバーナーを極限まで噴射し、巨大な旋風を巻き起こす!
渦巻く竜巻が瞬時に砂煙を吹き飛ばし、クリアになった視界の中心で、5台のギアが陽光を浴びて輝いた。
「みんな! 合体だ!」
レッドギアの呼びかけに、イエロー、ブルー、ピンク、グリーンの4人も力強く頷く。
「「「「おう!!」」」」
5台のコンソールが一斉に跳ね上がり、五人と5台の声が重なった。
「『オールギア・エンゲージ!!』」
【合体シークエンスを開始します】
5つのギアが噛み合う時、地球を守るため我らの守護神が降臨する……っ!
まず、グリーンライナーが宙へ跳び上がり、2両編成の連結部から「く」の字に豪快に折りたたまれる! 前後の先頭車両がそれぞれ重厚な「脚部」へと変形。
上空のブルーウィングがメインエンジンの排煙口を全開に開く。
そこへ、折りたたまれたグリーンライナーの接合ピンがドスゥン!と凄まじい音を立てて突き刺さり、強固な下半身と胴体が連結!
続いて、ブルーウィングの左右翼下へ、イエローシャベルの重機アームと、ピンクラダーの伸縮ラダーがドッキング! 巨大な両腕が形成される。
さらに、ブルーウィングの先端部(機首・操縦席付近)がギチギチと音を立てて前方へ90度折れ曲がり、胸部の受け皿ベースが完成する。
そこへ——下界から猛スピードでアクセルを踏み込んだレッドビークルが、大ジャンプ!
空中で車体が二つに折れ曲がり、折れ曲がったジェットの上面へと力強く着地・固定される!
その中心部から、ツインアイを鋭く光らせたロボ頭部が勢いよくシャキーンと出現した!
『完成!ギアキング!』
ズゥゥゥゥン……!
大地を揺らし、立ち上がる巨体!
「「「いくぞ!土嚢怪人!」」」
「カッコつけて名乗ってねえで早くやっちまえ! 冷却水がもう漏れかけてんだよ!!」
「合体時間3.2秒! 砂煙のせいで0.4秒遅れました! 迅速に敵を撃滅してください!」
「ま、まずい……。このパターンは非常にまずい!!」
立ち塞がる巨躯を見上げ、土嚢怪人は冷や汗を流すのだった。




