外の世界
エルドリア国王が再び登場です
王太子妃初登場
※本作は『皇女の帰還―約束の耳飾り―』の前日譚にあたる外伝です。
※本編をお読みになってからの閲覧をおすすめいたします。
※本編よりも重い描写やつらい場面が含まれる場合があります。該当する話には、前書きにて個別に注意書きを記載いたします。
「我が娘の婿、公子殿がおいでとのこと。ぜひ王宮へご招待したい」
その知らせが、ロザーリアたちの住む別邸に届いた。
荷物を運んだ騎士から漏れたらしい。
「……口止めをしておくべきだったな」
クラウスが肩を落とす。
「仕方ありません」
エリアスは淡々と言った。
「少し顔を出してきます。クラウス殿、道案内を頼めますか?」
「ええ、すぐ着きます」
二人は馬に乗り、城へ向かった。
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その頃、別邸では――
ロザーリアがカトリーナの部屋に入る。
わずかに、表情が柔らいでいる気がした。
「……痛む?」
カトリーナは少しだけ目を伏せた。
ロザーリアの胸が締めつけられる。
「……変われるものなら、私が代わってあげたい」
涙がこぼれた。
侍女がそっと口を開く。
「お医者様のお薬で、少しは楽になられているようです」
「……そう」
「ただ……やはり、異性の医師には見せたくない部分でございますので……ずっと我慢なさっていたようで」
ロザーリアは静かにうなずいた。
「私が代わるわ。あなたは休んで」
「ですが……」
「私は騎士よ。これくらい大丈夫」
侍女は深く頭を下げ、部屋を出た。
ロザーリアは、カトリーナに話しかける。
昔この屋敷で過ごした日々。
幼いフェルネスの話。
王弟のこと。
クラウスが来た日のこと。
カトリーナの表情が、ほんの少し和らいだ。
やがて、静かに眠りに落ちる。
ロザーリアは、その顔をじっと見つめていた。
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その頃、王宮では――
「ようこそ、婿殿!」
国王は酒と料理にまみれながら、下品に笑った。
「あんな小さな屋敷ではなく、ぜひ城に泊まっていかれよ!」
葉巻の煙が部屋に充満している。
王太子と王太子妃も同席していたが、ほとんど表情を動かさない。
「早く孫の顔を見せてほしいものだなあ!」
がはは、と笑う。
「ロザーリアはあの体形だ、難しかろうがな!」
エリアスは無表情を保つしかなかった。
食事も酒も、口にする気にはなれない。
やがて国王は一人で飲み、一人で食べ、そして――
そのまま眠り込んだ。
王太子が静かに目配せをする。
騎士たちが現れ、四人がかりで運び出した。
「……失礼いたしました」
王太子が深く頭を下げる。
「いつも、あのようなご様子なのですか?」
エリアスは小声で問う。
「……ええ」
王太子も同じく声を落とした。
「ここは“自分の城”ですから」
「素が出たのでしょう」
「リチャード、場所を変える」
「は」
案内された別室は、清潔で静かな空間だった。
ようやく息がつける。
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それから三人は、長く語り合った。
政治のこと。
エルドリアの今後。
そして――ロザーリアのこと。
「……あの方は、とてもお強いです」
王太子妃が静かに言う。
「騎士としても、女性としても」
「私など、憧れるばかりでございます」
エリアスは少しだけ微笑んだ。
「……あれは、強すぎるくらいです」
「その強さが必要な者でもあります」」
王太子はうなずく。
やがて話題は、自然と変わっていく。
「……カトリーナ殿の件、聞き及んでいる」
王太子が低く言った。
エリアスの表情がわずかに硬くなる。
「……申し訳ありません」
「謝る必要はない」
王太子は首を振る。
「あの屋敷が役に立つのならよい」
短い沈黙。
「……あの子は、どうなるのだろうと不安です」
エリアスがぽつりと問う。
王太子は少し考え、
「時間はかかるだろう」
そう答えた。
「だが、そなたとロザーリアが側にいる」
「……大丈夫だ」
エリアスは目を伏せ、うなずいた。
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帰り際――
「ロザーリアとは関係なく、今後も友人でいてほしい」
王太子が手を差し出す。
エリアスは、その手をしっかりと握った。
「もちろんです」
「私は自由に動けます。必要であれば、そちらの屋敷にも伺います」
王太子妃がうなずく。
「女手が必要でしょうし……私もお力になりたい」
「助かります」
エリアスは素直に言った。
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エリアスが馬に乗るとクラウスも現れ、後に続いた
二人を見送った後、王太子がつぶやく。
「……妙な関係だな」
「ええ」
王太子妃が小さく笑う。
「ですが……あの方からは、不思議な気配を感じます」
「気配?」
「ええ……男性らしさとは、少し違うような」
王太子は眉をひそめる。
「……よくわからぬな」
「私も初めてでございます」
王太子妃は首をかしげた。
「……まあよい」
二人は、そのまま部屋へ戻っていった。
本編ではあまり出番がない王太子妃
こちらでは、ロザーリアの義姉として、いろいろ交流ができます
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