第91話王族外交演出編! ~看板娘、まさかの謁見ラーメン~
「――というわけで、今回の“王族謁見ラーメン演出”、あなたに任せますわ」
「…………へ?」
いつもの湯けむり立つ厨房。
美月のいない朝の会議にて、ソルティナはスープじゃなくて“時”が止まる音を聞いた。
「わ、わたし……!? 王族謁見の、え、演出って、王様の前で、しゃ、喋るってことッスか……!?」
「そのとおりよ」
リリアーナが自信満々にうなずく。
「あなた以上に、“庶民と貴族をつなげる架け橋”にふさわしい人はいない。これは、美月様公認のお仕事でもあります」
「“公認”の重みッス~~~~~~!!」
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◆ミッション:海洋国家・リーフェン王国の王姫へ「初めてのラーメン」
「まず、向こうの王宮の晩餐会にて、王姫が“美月様のラーメンを食べてみたい”と仰ったらしいのです」
「わ、王姫が!? つまり、お姫様が、ラーメン初体験ッス!?」
「そう、そして貴族の儀礼作法や宗教的な要素を鑑みて、食材の説明・調理演出・出し方すべてが必要なの」
「おもてなしを超えて……もう、総合芸術ッスね!?」
「その情熱、嫌いじゃないわ」
リリアーナが笑い、クラリーチェが小さく拍手する。
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◆当日、王宮前――
「落ち着け、ソルティナ……深呼吸……これ、ぜったい何かの間違いッスよね……」
「間違ってないから! 何度言えばわかるの!」
「でもリリアーナ様ぁあああ!! 王宮の玄関、天井にシャンデリアが20個くらいぶらさがってるッス~~!!」
「それは確かに多いですわね」
「よけいに不安になるやつッス!!」
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◆王姫と初対面
「――お初にお目にかかります。“看板娘外交補佐”ソルティナと申します!」
「……まぁ。とても明るい方なのですね」
「えへへへ……えへっス……えっへ……!?」
「ほら、変な笑いになってる!」
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◆謁見の間にてラーメン演出
ソルティナがラーメンを一口すする。
その様子を見て、王姫が少し微笑んだ。
「……こうして見ると、まるで詩を読むようですね」
「え、ラーメンが詩……!? ちょ、ちょっと説明するッス!」
「“一筋の麺に、百年の知恵。スープ一滴に、五千の願い。”……」
「おおっ!? ソルティナ、それっぽい!」
「で、でもホントに美月様のラーメンは、食べるたびに元気が出るッス……!
あの、王姫様も……ぜひ!」
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◆王姫、初すする
「……これは……温かいのに、どこか懐かしい……。……そして、塩の加減が絶妙……」
「塩分のバランスは、海洋国家の水分補給を意識して、あえて控えめに……あと、ミントの香りで、心を鎮めてくれるッス!」
「……やはりあなた、只者ではないのね?」
「庶民の只者ッス~~~~!!!」
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◆演出、大成功!
ラーメンは見事に王姫のお気に入りとなり、王宮での“薬膳ラーメン講義”が定期開催されることに。
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◆帰りの船上にて
「……リリアーナ様、クラリーチェ様……わたし、ちょっとだけ……誇らしかったッス」
「“ちょっと”だけ?」
「正直、かなり誇らしかったッス!!」
「その気持ちが、あなたの“強さ”ですわ」
「もうソルティナは、“看板娘”から“外交演出官”への進化ね」
「えっ、それ、そんなにすごい響きッスか!?」
「世界で一人よ。ラーメンで王姫を唸らせた“情報屋”は」
「ぎゃあああああ恥ずかしいッス~~~~!!」




