第72話癒しのラーメン使節団派遣編 〜湯気とスープの国際交流〜
「癒しを世界へ! ラーメン温泉スパ外交、いよいよ本格始動ですわね、美月さま!」
「え……外交? いや、わたしはただ、薬膳ラーメンとお風呂でみんなが元気になってくれたらって思ってただけで……」
「甘いですわ! 甘露スープよりも甘いですわ! これはもはや、世界平和の要ですの!」
「いや、リリアーナさん、いきなりスケールでかすぎ……」
そんな会話が交わされる中、美月の元に各国から続々と招待状が届いていた。
「“冷え性の女王陛下に湯気の奇跡を”……?」
「はい。こちらは氷の王国ユキエルトからです。以前、“湯煎うどんラーメン”を食べた使者が感動して帰ったそうで……」
「“汗と涙の砂漠にスープを”というのも来てますわね。あれ、これって前に行った灼熱のサンドゥーン?」
「そっちは、冷やしミントつけ麺の香りに涙した女王陛下からの直々のご指名です!」
「……うわぁ、もう、どこから片づければいいのか……」
すると、チグー(魔獣ちびグリズリー)がふごふごと鼻を鳴らしながら、美月の足元にすり寄ってきた。
「ふごっ……ふがーっ!」
「え? チグーも行くの? そっかぁ、あの“もふ外交”がまた発動しちゃうかもね」
「おふごっ!」
「ほらほら、準備を急ぎましょう! クラリーチェ、スケジュール確認は?」
「はいっ! 北の氷の国からスタートして、その後、西の砂漠国家、南の海上王国、そして……中央の天空都市に再訪ですわ!」
「天空都市も!? あ、あのゼファル王子がまた……」
「おや? もしかして、美月さま、顔が赤いような……」
「なっ、なに言ってるのリリアーナさんっ!?///」
「ふふっ、では“薬膳湯けむり外交団”、発進ですわ!」
こうして、美月を中心とした一行は、“癒しのラーメン外交”の旗印のもと、再び旅に出ることになった。
肩には鍋、背中には温泉用の木桶、そしてチグーのもふもふ。
それはまさに、ラーメンと湯気でつなぐ世界平和の旅路――。
けれど、道中でスープがこぼれたり、温泉の温度調整で大騒動になったり、貴族から「薬膳泥パックが逆に痒いんだが」とクレームが来たりと……。
騒がしくも、あたたかな旅が始まった。




