第71話ラーメン温泉と薬膳スパで、世界を癒す国づくり!?〜ギュスターヴ、奮闘の巻〜
「ふふん、さあ見てくれ、我が心の姉の名を冠する領地――その名も、ミヅキ温泉郷であるっ!」
そう高らかに宣言したのは、美月の代理でこの地を任されているギュスターヴ。ギルド長の双子の弟にして、少々目立ちたがりな性格、突っ込みどころ満載、私はあなたより20歳以上年下ですが……だが、やる時はやる男である。
「ギュスターヴさん、本当にここ、昔は荒れた谷だったんですか?」
「そうとも! かつては“寝雪の谷”と呼ばれておったが、いまや“湯煙の楽園”じゃ!」
「自己命名じゃねぇか……」と、厨房スタッフの一人がボソリ。
ここでは天然の薬湯を活かした「薬膳スパ」と、温泉で茹でる「湯煎ラーメン」なる新業態が人気沸騰中。旅人や貴族のみならず、各国の王族や外交官までもが視察に訪れる。
そのころ、美月も馬車から降りて久しぶりに自分の領地を見渡していた。
「……すごい。本当に、ここまで発展してるなんて……」
「うむ。まことに見事な手腕ですな! とくに、湯上がり薬膳冷やしつけ麺と、薬膳香草泥パックの相乗効果は天下一品!」
「どこまでがラーメンで、どこからがスパなんですか?」
「もはや境界はない。癒しとは、スープであり、湯気であり、笑顔なのだよ!」
「……名言っぽいけど、よくわかんないね?」
美月が苦笑すると、ちょうど湯煙の向こうから、リリアーナとクラリーチェが手を振りながら現れた。
「美月さま! このラーメン香蒸風呂、最高ですわ!汗をかきながら一口啜る冷やしラーメンが……もう、天国!」
「ミヅキ温泉郷バンザイですわ!ラーメンは内側から、薬湯は外側から……もう体が軽いんですの!」
「本当に……ギュスターヴさん、がんばってくれたんですね」
「ふふん。姉上の名に恥じぬよう、日々努力しておりますのでな。あ、でも最近は“ミヅキ温泉女子会プラン”が人気すぎて、お忍びで来た王妃様に“美肌つけ麺”を出してしまい、大騒ぎになりましてな……」
「ギュスターヴさん……!」
「ほんとうに、ギュスターヴさんって、すごいですよね。尊敬しますわっ」
「ふふっ、まあな。あっ、そうだ、クラリーチェ嬢も今度“ラーメンアロマ石鹸”の開発に協力を――」
「ちょ、ちょっと待って!? それはまだ試作段階でしょ!?」
ラーメンの香りと笑顔、そしてほんのり温かい湯気に包まれて、ミヅキ温泉郷は今日も賑わいを見せる。
世界を癒すラーメン温泉の地――その始まりは、たった一杯の薬膳ラーメンだった。




