表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
67/155

第68話天空都市から地上への凱旋編 〜王子と薬膳、そして再び地に足を〜

「……はぁー、地面って、いいわねえ」

美月は長靴の先で土をキュッと踏みしめた。天空都市での浮遊生活も悪くはなかったが、やはり地面を踏んでいるという安心感は格別だった。

「美月殿。まさか空の上で“地面に恋する女”とあだ名されていたとは……」

そう言って苦笑するのは、ゼファル王子。天空都市での“密着修行”を経て、地上へと降りることを決意したばかりである。

「そ、それって誰が言ってたの!? あの衛兵たちね!? あの、“あの人また地面恋しがってます”とか言ってた……!」

「わたしじゃないですわよ」

後ろから涼しげに声をかけたのは、クラリーチェ。クラリーチェもリリアーナも、一緒に帰還する一行の中にいた。王都へ戻る道中、彼女たちは再び旅装を整え、まるで冒険者のように馬車に揺られている。

「それにしても……」

リリアーナが窓の外に視線を投げながら、ぼそりとつぶやく。

「空の上ではあれだけ静かだったゼファル王子が、帰り道ではずっと美月様の隣をキープしておられますわね……」

「き、キープって言い方……!」美月が顔を赤らめる。

「ふふっ。だって、ずっとぴったり。ね、ゼファル殿?」

クラリーチェが軽く王子の肩を肘で小突いた。

しかしゼファル王子は、真面目な顔で、むしろ堂々と返す。

「私は、学びたいのです。薬膳と、ラーメンと、そして――人のために料理を作る心を。……それを、美月殿から」

「ゼ、ゼファルさん……真面目か!」

美月が思わずずっこけたその瞬間、チグーが「もふぅん」と伸びながら、馬車の荷台から頭を出した。

「チグーまで真顔でうなずかないで! 誰か笑って!!」

「もふ、ふも……!」

「それ絶対“そろそろ正式にプロポーズしろ”って言ってるわよね!?」

馬車の中は、笑いと照れと、もふもふとしたチグーの鼻息で満ちていた。

王都への帰還は間もなく。

天空からの凱旋は、決して仰々しいものではなかったが――

美月たちの笑顔が、空から地上へと“ぬくもり”を連れて帰ってきたのだった。

そして、美月の新たな“多面任務”の再始動も、すぐそこに迫っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ