第67話天空ラーメン、完成!?王子と夜空の試食会
空の都市アエリスタ――
空気が澄みわたり、星々が手に届きそうな夜。
王宮のテラスでは、美月とゼファル王子が並んで鍋を囲んでいた。
鍋から立ち昇る湯気には、ほんのり香ばしい胡麻と、天空ハーブの爽やかな香りが溶け合っていた。
「……ついに完成ですね。天空ラーメン」
ゼファルが、誇らしげに丼を差し出した。
「うん、見た目は完璧。じゃあ……試食、いきましょうか!」
二人は箸を手に取り、ズズッと同時にすする。
「……あっ」
「これは……」
ほのかな塩気に、花のような甘み。
極細でしなやかな天織麺が、優しくスープと絡み合う。
「この味……ふふ、美月殿の教えがなければ到達できなかった」
ゼファルが目を細める。
美月は笑いながら、口元をぬぐった。
「でも、最後の一手は王子が決めたでしょ? あの天空ハーブをあえて焦がすの、斬新だったなあ」
「……私は、貴女と過ごした時間すべてが学びで、宝です」
「え、な、なに急に真面目な顔して――」
その時、テラスのカーテンがバッと開いた。
「ちょ、ちょっと待ってくださいましー!」
リリアーナがワインボトル片手に乱入してきた。
「お、おふたりでこっそり試食なんてずるいですわよ! 私も呼んでくださいましっ!」
その背後からクラリーチェも続く。
「夜空ラーメンですって!? わたくしも味見を!」
「いや、試作で……」
「せめて連絡くださいまし! これはもう王都レベルの案件ですわよ!」
チグーが「もふ~!」と、どこからともなく現れ、ラーメンの匂いに吸い寄せられるように机の下へ潜り込んだ。
「……ま、まあ、せっかく作ったし。みんなで食べよっか?」
「もちろんですわ!」
「天空の夜空に乾杯ですわ~!」
「もふぅ!」
テラスにはラーメンの香りと、星明かり、そして笑い声が満ちていた。
ふと、美月が空を見上げる。
――ここまで来たんだな、って思う。
日本でラーメン屋の看板娘だった自分が、今は天空の王子と、空の上でラーメンをすすっている。
「……次は、どんな空の下で、ラーメンを作ろうかな」
小さく呟いたその言葉に、ゼファルが微笑む。
「どこであっても、私は共にあります。ラーメンの未来に、私の心も」
リリアーナがぷいっと横を向いた。
「ふ、ふんっ……王子、気安いですわよ。美月さまは、わたくしの……もとにお仕えする方ですの!」
「え、ちょっとリリアーナ! それってどういう立場なの!?」
「えへへ、わたくしもご一緒しますわよ〜!」
星空の下、ラーメンと絆がまたひとつ、空を超えてつながっていくのであった――。




