第61話 薬膳つけ麺旋風、はじまる!〜五香涼華、夏の味覚を制す〜
「よし……できた」
美月は、冷たく締めた翡翠色の麺を湯気立つ五香スープにそっと浸す。その香りにチグーがくんくんと鼻を鳴らした。
「グルルルル(いい香りだね、ミヅキ。このスープ、ただのラーメンじゃない。“食べる漢方薬”って感じ)」
「うん。今回は、麺が主役。五種の香辛薬草に、ほんのり檸檬草と薄荷の香りを加えてるの。夏バテ予防と、涼しさを両立させた“つけ薬膳”ってとこかな」
そこへ、リリアーナが汗だくで現れた。
「美月さま〜っ! すぐに冷やしつけ麺、ひとつくださいっ! 汗だくで倒れそうなんですの〜〜!」
「お疲れさま。どうぞ」
一口食べて、リリアーナはぴたっと動きを止めた。
「……んんっ!? しょっぱなから八角と陳皮!? でも、後からくる涼感が……なにこれ、癒される……」
「夏のラーメンの決定版よ」
その翌週、「薬膳つけ麺・五香涼華」は、全国冷やしラーメン選手権・夏の部にエントリーされることに。
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◆つけ麺バトル全国大会!〜クセ強ラーメン職人たちの宴〜
大会会場では、クセの強い職人たちが続々と現れた。
「うちのは、粉チーズどっさりの濃厚豚骨つけ麺よ! デザートにチーズドッグ付き!」
「我が流派、灼熱激辛唐辛子つけ汁! 完食者ゼロ、我こそ激戦王なり!」
美月は苦笑した。
「……これ、薬膳系は地味に見えるかも」
だが、審査員が一口すすると――
「……!? なんだこれは。五香の芳醇さ、涼感の重なり、そしてこの細麺ののど越し……身体が、涼しくなるのに力が湧いてくる」
チグーも、尻尾を振って絶賛(?)の一口。
そして――
「優勝は……美月薬膳拉麺、五香涼華!」
会場にどよめきが走った。
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◆五香涼華、世界へ!〜つけ麺、国境越える〜
この優勝を機に、隣国や砂漠の国、極寒の地まで出店依頼が殺到する。
「冷やしでいくには、砂漠の国では氷精石を使わないとね……」
「凍らせた麺って新しいですわ! 氷上で滑らせる“つけ麺ダンス”を開発しますの!」
一方、店舗では、元気なスタッフたちが奮闘中。
「麺の締め時間、秒単位で調整してます!」
「薬膳スープの香り、今朝の湿度で微調整っス!」
美月はそんな姿を遠くから見守りながら、屋敷の庭に咲いたハーブに微笑んだ。
「薬膳の力が、こんなに世界に広がるなんて……でも、きっとまだまだ、できることがある」
そして、次なる挑戦へと――ラーメンは、まだ進化を続ける。




