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第57話 ラーメン女子爵の領地、まさかの双子統治!?〜ギルド長の弟、現る〜

「……というわけで、美月ちゃんの新しい領地だけど」

王都の美月邸の執務室にて、ギルド長が淡々と話を切り出した。

「ちゃんと管理しないとね? 一応、領主なんだから」

「えっ、でも私、王都にいるし……世界平和使者だし……えっと、ラーメン屋だし、講師だし……正直それどころじゃ……」

美月は両手で顔を覆った。スケジュール帳はすでに黒一色。朝から晩までラーメン漬け、そして外交漬け。

「大丈夫、大丈夫。ちゃんと考えてあるから」

そう言って、ギルド長が呼んだのは――

「紹介しよう。私の双子の弟、ギュスターヴ・エーデルシュタインだ」

「どもっ☆」

ドアを開けて入ってきたのは、ギルド長とは似ても似つかぬ軽やかスマイルの青年だった。髪はゆるふわの金、服装はゆるふわのシルク。なんか全体的に「ふわ」しかない。

「えっ、弟さんですか? でもギルド長って、厳格で几帳面で……」

「そう! だからこそ、弟には真逆の性格を与えられたのさ。天は二物を与えず、だけど我が家は二性格を創った」

「そんな分業ある!?」

ギュスターヴは椅子に軽く腰かけ、足を組んだ。

「ま、美月ちゃんの領地――マーベル渓谷っていうんだっけ? あそこ、自然豊かで牧草地もあるし、薬草の栽培もできる。あと温泉がある」

「えっ、温泉!?」

「そう。だから、領主としては“癒しと健康の薬膳リゾート”を目指そうかと」

「なんか……有能そうなこと言ってる……!?」

「もちろん、ラーメンテーマパークも作るつもり☆」

「やっぱり変な方向いったーーーー!!」

後ろでリリアーナが冷静にメモを取っていた。

「ふむ、“ミヅキ温泉郷ラーメン村構想”ですわね。あとで私からも補足資料を出しておきます」

「なんで乗り気!?」

「もちろん私とクラリーチェも、月1回は視察と称して訪れる予定ですのよ。ね? クラリーチェ」

「はいっ! 美月さまの領地をこの目で拝見できるだなんて……はわわ……! ご利益ありそう……!」

「まだ神社じゃないよ!? でもまあ、領地の運営は任せて大丈夫ですか?」

ギルド長がぽつりと一言。

「兄としては一抹の不安しかないけど、なんだかんだで“人を楽しませる才”はある男だからな。美月ちゃんの名を、良い意味で広めてくれるさ」

美月は、机の上にある領地の地図をそっと見下ろした。

――薬膳、温泉、自然。人々の健康と笑顔が、そこに宿るなら。

「……じゃあ、お願いします、ギュスターヴさん。私に代わって、みんなにあったかい場所を作ってください」

「任されました〜☆ 領主代行ギュスターヴ、ここに爆誕! ラーメン温泉と薬膳スパで、世界を癒すぜ!」

「なんか語感がもう、王国の台所というより温泉街のプロモーター……!」

そんなふうにして、美月の新たな領地は、“ふわっと有能”な双子の弟・ギュスターヴの手で、ラーメンと癒しの未来郷へと進化していくのであった――。


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