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第55話 世界平和サミット編―毒を見抜け!チグーと鑑定の連携戦―

世界平和サミット当日――

絢爛な宮殿ホールには、各国の王や王女、大使に大臣、さらには武闘派の将軍までが勢ぞろい。

美月は、特設された“薬膳料理展示ブース”の奥で、緊張した面持ちでラーメンの仕上げに勤しんでいた。

「ふう……どんぶりも完成、スープも完璧。麺も……この張り、よしっ!」

横では、リリアーナが分刻みのスケジュール表を確認しながらブツブツ言っている。

「18:15 王族の着席、18:20 スープ提供、18:22 拍手予定、18:25 涙する人1名……」

「最後、計画通りにいかないでしょ!?」

そこへ、背中からもふもふとした感触が。

「……チグー、来てくれたんだ」

猫の妖精チグーは、ふんふんと鼻を鳴らして、美月のどんぶりに興味津々で顔を突っ込もうとしていた。

「ちょっと、まだ完成してないからダメ――」

と、そのときだった。

チグーの耳がピクッと立ち、くんくんと周囲の空気を嗅ぎ回り始めた。

「……?」

そして、サミットの料理人が並ぶ奥の厨房方向に向かって、ぴたりと動きを止める。

「……おかしいニオイがするニャ」

その声に、美月の背筋がぞわりとした。

すぐに《体調鑑定》スキルを発動。目を細め、会場全体の食材と調理エリアを順にスキャンしていく。

――そして、ある料理に目を止めた。

「……あれ、毒がある」

「え!?」

クラリーチェが顔を青くして、美月の視線の先を追った。

「某国の前菜皿……? でも、調理人はあの国の王宮付きじゃ――」

「ちがう……これは、混入されたものだ。料理人が気づかず使ってしまったんだと思う」

「でも……これを放っておいたら、王族が……!」

リリアーナが冷静に指示を出す。

「リリアーナ特別指令! 即刻料理長と会場警備に連絡、対象皿の配膳を中止。各席には“女男爵特製薬膳ラーメンの追加提供”という形でつないで!」

「ラーメンで中和!? って、あ、はいっ!」

美月はすぐに会場中央へ。

「みなさま、本日は特別に――予定にはございませんでしたが、栄養と香りに優れた“清めの薬膳白湯ラーメン”をお一人様一杯、心をこめてお届けさせていただきます!」

その声に、会場はざわついたが、次第に湯気と香りに包まれ、誰もが頷き始める。

「ふむ、悪くないアイデアだ」

「腹が空いていたところだ」

「わたくしの胃袋は、正直ですのよ?」

ラーメンによる時間稼ぎが成功し、裏ではチグーとリリアーナが、厨房に残された材料から毒の出どころを特定。

最終的に、調味料の中に紛れ込んでいた微量の毒を突き止め、犯人は某国の偽装料理人であることが判明する。

「……チグー、よく見つけてくれたね」

「にゃふふ。ラーメンの香りのために磨いた鼻ニャからな!」

犯人は速やかに捕縛され、サミットは無事閉幕。

だが、美月の活躍は各国に広まり――

後日、自国へ帰還した王様は、満場一致でこう言い渡した。

「美月女男爵を、我が国の“世界平和使者”として認定する。これは我が国の誇りであり、未来への礎である!」


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