第40話 文化祭開幕!〜ラーメン屋台はちょっとお休み?〜
秋晴れの朝、美月薬膳拉麺学院では年に一度の大イベント「文化祭」が始まろうとしていた。
学院の中庭には、屋台の煙と笑い声があふれ、香辛料の香りが風に乗って漂う。
「せんせー!準備できました!これは“スパイシー焼きとうもろこし”です!」
「私は“薬膳たこ焼き”よー!」
生徒たちが自由な発想で創作料理を並べるなか、美月はひときわ目立つ屋台の前で腕を組んでいた。
「ラーメンじゃない屋台、だなんて……久しぶりすぎて逆に緊張するなあ」
「先生、屋台名は『美月のなんでも食堂』にしておきましたわ!」
サポートに回るクラリーチェが、胸を張ってメニュー表を掲げる。
「焼き団子に薬膳カレーに、冷やし杏仁豆腐……お箸が止まりませんわね!」
「ありがとうクラリーチェ。でも、やっぱり多くない? これ、誰が作るの?」
「もちろん、美月さまですわ!!」
「……知ってたけど……!」
リリアーナは呆れつつも笑いながら、屋台の裏から鍋を運んでくる。
「それより、美月。彼女、今朝からずっと走り回ってるのよ? “文化祭成功させ隊”の隊長として」
「隊長!?」
「勝手に名乗ってましたわ。でも、なかなか見どころある働きぶりですのよ」
◆クラリーチェの奮闘!〜裏方って、けっこう大変!?〜
クラリーチェは、屋台の食材調達に始まり、厨房班と販売班の橋渡し、そして迷子の貴族子女の保護(?)まで奔走していた。
「ええと、調味料が足りないですの!? 大丈夫、あそこのカレー班に余りがありますわ!」
「配膳皿が!? 美月さまの倉庫に予備が――……ちょっと待ってください、いま持ってきます!」
額に汗をにじませながらも、笑顔は絶やさず。
しかし……
「――あっ、わたくし、転びましたわ」
薬膳団子の皿を持ったまま、クラリーチェが見事にコケる。
「クラリーチェ!? 大丈夫!?」
「……団子は無事ですわ……! 美月さまのレシピですもの、命より重いですの……!」
「命より重いは言い過ぎだってば!」
屋台の周囲は笑いに包まれる。
その日の文化祭は、まさに「食」と「笑顔」の祭典だった。
◆絆の味は、薬膳仕立ての杏仁豆腐
すべての屋台が終わった夕方。
中庭のベンチで、クラリーチェと美月が並んで座っていた。
「はあ……もう足が棒ですわ」
「ほんと、よく頑張ったよ、クラリーチェ」
「わたくし……今日、初めて“誰かを支える裏方”っていうのをやって……すごく、楽しかったんですのよ」
美月はにっこりと笑って、特製の薬膳杏仁豆腐を差し出す。
「ありがとう。これは、今日のごほうび。あなたがいなかったら絶対無理だった」
「美月さま……!」
「でも、明日からまたラーメン漬けだよ」
「望むところですわ!!!」
――こうして、美月とクラリーチェの絆は、文化祭という小さな奇跡の中で、また少し深まっていくのだった。




