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28話 異国ラーメン創作編!〜東方の香辛料とチグーの鼻〜

「ミツキさま、私にも、何かお役目をくださいまし!」

「クラリーチェ、まず“ミヅキさま”って呼び方だけはやめようって言ったじゃん……」

「でも愛を込めて“さま”と!」

「“さま”はいらん!」

リシェル王国滞在も数日が経ち、風の噂に「ラーメン貴族」として知られ始めた美月。そんな彼女の元に、宮廷料理人や薬草師、冒険者たちが「異国の味」を求めて集まりはじめていた。

王女クラリーチェはというと、今日も上品なレースの日傘をくるくる回しながら、美月のすぐ横にピタリと貼りついている。

「美月さま、ラーメンにはやはり、異国の香辛料と秘密の食材が必要ですわ! 冒険に参りましょう!」

「勝手に決めないでってば!……でも、まあ食材探しは確かにしたいなあ」

「わたくし、覚悟はできておりますわ。美月さまと、泥まみれの大地を共に進みますわ!」

「泥まみれになったら泣くでしょ……」

そしてもう一人――この光景に日々振り回される令嬢がいた。

「ねえ、美月さま。そろそろ“お姫様ベッタリ同伴モード”解除していただけないでしょうか?」

「リリアーナぁ、助けてぇ……」

「……というかクラリーチェ様、あまり距離が近すぎます。髪が美月様に当たってます。というかもう、毛先が美月様の耳に突っ込んでます。やめてください」

「くすぐったい……」

「尊いからって許されると思ったら大間違いですわよ!」

「ちょっと待って!? 急に貴族口調で私にマウント!? リリアーナ!?」

「……すみません、つい調子に乗ってしまいました」

そんなやり取りを背に、チグーがふごふごと鼻をひくつかせ、地図の上に鼻汁のしみをつけていた。

「チグー、なにか見つけたの?」

「ふごっ!」

チグーの鼻が指し示すのは、リシェル王国南部の「香神谷こうじんだに」と呼ばれる香草の名産地。

「よし、行ってみよう!東方の香りを探す旅だ!」

________________________________________

◆リシェル王国・香神谷への旅路

「……し、湿度がすごい……」

「私の巻き髪がっ、うねって、うねって……!!」

「クラリーチェ様、それは……あまりにも可哀想なうねりですね」

「やめてリリアーナ、慈悲の目やめて……!」

チグーの導きにより、一行は草と香辛料が生い茂る南部の谷へとたどり着いた。そこには見たことのない香草やスパイスの香りが立ちこめており、美月の鑑定スキルが唸りを上げる。数々の名前のない香草やスパイスを見つけ出したのである。

「この草……鉄分と代謝促進効果が高い……ショウガに近い仲間・・・。」

「このネギっぽいのは、解毒作用がすごい……」

「このズッキーニもどきは……利尿作用と腸内環境改善!」

「リリアーナ。名前はどうしようか?」

「そんなの決まってますわ。すべてにミズキ〇〇とつければよいのですわ。ミズキジンジャー、ミズキネギ、ミズキズッキーニ。決まりですわ。クラリーチェ様。」

「はい。王家の威信にかけてミズキという名前のついた香草やスパイスにかんしては、認定するように、大臣や学者にお願いしておきますわ。」

「……全部“ミズキ”って名前を頭につけるつもり?」

「はい!」

「拒否はできない?」

「はい!」

そして――一同はついに、ある“伝説級”の食材を発見する。

________________________________________

◆奇跡の野菜『ミズキポタ』

見た目は、どう見てもただのごつごつした灰色の芋。香りもほぼ無臭。地元の農民たちでさえ「煮ても焼いても食えぬ厄介者」として扱っていた。

だが、美月の鑑定スキルが告げた。

「糖質と油分を加熱分解して、極上の出汁になる……!?」

チグーがふごふごと鼻をならして、その芋を凝視していた。

「やってみる価値はあるかもしれない」

「おお、美月さまの実験だ! わくわく!」

リリアーナが嘆息した。

「……あの、王女としてもうちょっと落ち着いたリアクションとか、ないですか?」

「ないです!」

________________________________________

◆奇跡のスープ、誕生

美月がその芋を2時間かけてじっくりと煮込むと、なんということか――

鍋の中からは黄金色のポタージュのようなスープが湯気とともに現れた。

「……この香り……っ」

「う、うまみが濃縮されている……ッ!」

「甘みもあるのに、脂がない……いや、むしろ脂が染み出している……なのにヘルシー……!」

チグーがぷるぷる震えながら鼻をスープに突っ込もうとした。

「だ、だめー!まだ!飲むなー!」

こうして誕生したのが、奇跡のダイエット食材ミズキポタを使用したラーメン。

試作ラーメン第一号は、

《ミズキポタ白湯と香神の香辛ラー油ラーメン》

「辛い!けど甘い!……でも、重くない!」

「これは……“胃に優しい辛旨”の完成形!」

クラリーチェが目を潤ませながら叫んだ。

「美月さま……わたくし、一生ついていきますわ……!」

「いや、王女がそんなこと言うといろいろ問題が……!」

「リリアーナも、わたくしの姉になってくださってかまいませんのよ?」

「急に妹ヅラしてくるのやめて!?でも、可愛いから憎めないのが悔しいっ!」

こうしてまた、美月のラーメンは新たな一歩を踏み出した。

異国の地で生まれた、新しい味。

それは、香り、辛み、健康、満足――すべてを兼ね備えた、まさに“異国の粋”だった。

次なる舞台は、果たして――?


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