第27話 王女、ラーメン試食会を開催!?〜国賓相手に全力すする〜
リシェル王国王宮・金碧の大広間。
豪華絢爛な装飾が施された空間に、各国から招かれた使節たちが一堂に会していた。
「王女殿下がご自身で……ラーメンを振る舞うとな?」
「それも“すすり音込みで味わう”と……?」
各国の代表たちが戸惑うなか、ラーメン鍋を抱えた王女クラリーチェ=フォン=リシェルが颯爽と登場。
「皆様、お待たせしましたの! 本日は、“魂の一杯”をもって、我が国の誠意を表しますわ!」
「ラーメン外交……ここに極まれり」と、小声でつぶやくのは美月。背後にはリリアーナが腕を組んで立っていた。
「まったく、王女さまの熱意には頭が下がりますわ……あ、熱意じゃなくて、湯気にでしたわ」
「うまいこと言ってる場合!?」
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会場には、王女手製の「白湯仕立てリシェル風・紅花ラーメン」がふるまわれた。
各国の使節が箸をおそるおそる手に取り、麺をすすって――
「……ふぉおおおおおお!?」
「この香り……花のようでありながら、獣の骨の深みが……!」
「こんな麺料理、我が国にはない……すするのが……楽しい……」
予想外のリアクションに、美月が目をぱちくりとさせた。
「え、うそ……こんなに、ウケるの?」
クラリーチェ王女は勝ち誇ったように胸を張る。
「当然ですわ! わたくし、美月さまの指導のもと、日々命がけでスープを炊いておりますのよ!」
「命がけ……!? いや、それは言いすぎでは!?」
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そのころ、各国の代表たちは――
「我が国でもラーメン屋台を設けよう。外交官より、すすり手を雇え!」
「この“箸”という道具……我が軍の兵食にも応用できるのでは?」
「国交正常化は、ラーメンから。つまり“ラ麺交”……ふむ、語呂もよいな」
と、ラーメンによる国際交流に妙な火がつきはじめていた。
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試食会の最後、王女が声を張り上げた。
「皆様! 本日は、ラーメンを通じて“心を通わせる”とはどういうことか、お分かりいただけたと思います!」
「そのためには、すすり音も……魂の音色として、耳で味わってくださいませ!」
全員が一斉に麺をすする。
「ずずずずずず……!!!」
会場が、心地よい“すすりの合唱”で満たされる。
美月はそっとため息をついた。
「……なんか、想像の百倍すごいことになってる……」
リリアーナが、真剣な顔で言った。
「これが、ラーメンで世界を取るということですわ、美月さま」
「とってないよ! 世界、すすってるだけだよ!!」
チグーが「ぐるるっ」と喉を鳴らし、どこからか持ってきた小さな椀でラーメンを啜った。
こうして――
ラーメンは、ついに国境を越え、世界を“ずずっ”とつなぐ料理へと進化しはじめたのだった。




