第23話ラーメン外交編:公式訪問直前!王子はラーメンで我を失う
風見亭の厨房――
今日も美月は朝からスープを煮込みながら、忙しない一日を送っていた。
「うーん、今日の白湯はもうちょい火霊草を足した方が……」
その時、風見亭の扉が勢いよく開いた!
「拙者、隣国リシェル公国の第一王子、エリアス・フォン・リシェル! 貴殿が噂のラーメン令嬢かッ!!」
「……は、はい?」
エリアス王子、金髪巻き毛にキラッキラの軍装姿。護衛数名を引き連れ、まるで戦場にでも来たかのようなテンションである。
「噂の“グルン白湯・火霊草香るとろコクラーメン”を所望する!!この命、ラーメンに賭ける覚悟で参った!」
「いや命かけないで!? あとご注文は普通にメニューからで大丈夫です!」
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厨房の片隅では、チグーが湯切りのザルに興味津々で鼻を突っ込んでいた。
「ぐるるっ」
「チグーは静かにしてて! 王子がビビるでしょ!」
「ビビってなどおらぬ! その動物は貴殿の使役獣か!? すごい嗅覚を持っていると聞いたが!」
「……まあ、食材探し担当です」
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やがてラーメンが提供されると――
「……う、うま……うまァァァいッッ!!!」
――王子、椅子から転げ落ちる。
「ラーメンというのは……戦だな……! 幾千の出汁が火霊草とぶつかり合い、脂と香りが舌の上で決闘しておる!」
「いや、普通に食べてください。決闘じゃないです」
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その後、王子はスープを啜りながら真剣な顔になった。
「我が国リシェルにも、このラーメン文化を伝えたい……! 正式に、外交訪問を依頼したい!」
「外交って……え、そんな大層な話に!?」
「我が国の人々にこそ、貴女のラーメンが必要なのです!」
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そこにタイミング良く現れたギルド長が、おおらかにうなずく。
「ふむ……国際出店となれば、ギルドの名誉にもなるな。美月、行ってこい。ただし……リリアーナ嬢も同行な?」
「当然ですわ! 王子がラーメンに溺れている間、礼儀作法をお教えしなければ、美月さまの評判が心配でしてよ!」
「えっ、ええぇ……!?」
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こうして、美月の「ラーメン外交」は突如始まることとなったのだった。




