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【視聴者さん】転生先はVRMMOのNPC!?転生して最弱の錬金術師になった私はゲームの中からVtuberとして配信します!【助けて】  作者: 猫月九日
最初の街編

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第47話 意思

「ギルマス!」


 急いでギルマスを呼び止める。

 この方法を使うのなら私一人じゃ駄目だ。

 私の呼びかけに、首だけ振り返るギルマス。


「心配するな、無茶はしな……」


「違う! そうじゃない!」


 心配は、してた。過去形だ。


「あいつを倒す方法を思いついたんです!」


 私の言葉に、足を止めた。

 ギルマスに続いていた、冒険者達も、同じように足を止める。


「協力してください!」


 振り返るギルマスは、私の元に歩いてきた。

 優しい目で、私の事を見ている。


「アリス、もういいんだ」


 なんだろう、子供の戯言を聞き返すような感じだ。

 腹が立った、押し問答している場合じゃないのだ。


「あなた達! 死にたいわけじゃないでしょう!」


 このまま挑んだところで、やられるのは目に見えている。

 そうなれば、ここにいる全員だけでなく、街も危険なのだ。


「死にたくないなら! 街を助けたいなら! 黙って従え!!」


 私の叫びに、ギルマスの顔つきが変わった。

 私の必死の叫びは、届いた。



「それで、どうするのだ」


「やることは単純です、さっきの爆弾と同じです」


 走って、ゴブリンキャプテンに近寄りながら説明をする。


「しかし、爆弾はもうないのだろう?」


「はい、でも、あれだけが相手にダメージを与えるアイテムじゃないです」


 射程範囲に入った。

 ここからなら、投げて当てることができるだろう。

 走りを止めた私は、急いでインベントリからアイテムを取り出してギルマスに見せる。


「これは……石?」


『石? にしか見えないが』

『投石だな』

『うん? いや、うん? えっ? そういうこと?』

『まじで言ってる?』


 そう、これは、私が散々お世話になった投石だ。

 効果は、固定ダメージ1。

 どんな敵であろうと、敵に当てればダメージを与えられる。


「……まさか?」


 ギルマスも私がやろうとしていることがわかったようだ。


『残りHP……、アリスちゃんのインベントリにあった残り数』

『ここに来てまさか同じことするんか!?』

『えっ? どういうこと?』


 私はインベントリから、投石を全て取り出す。

 地面に山のように重なる投石。


「全部で150あります」


 想定残り敵のHPは100未満、対して私の残り投石の数は150以上。

 少し、計算が間違っていたとしても、削りきれる。

 やることは単純だ。こいつを全部あいつにぶつける。


「数の暴力ってやつを見せてやりますよ!」



 私の投げた投石がゆるい弧を描いてゴブリンキャプテンに飛んでいく。

 無事に当たった、これだけだとダメージは1だ。

 ゴブリンキャプテンは反応すらせずに、タンクを攻撃している。


「投げろ! 投げろ!」


 ギルマスが叫び続ける。

 声に釣られるように、他の冒険者達も石を投げ始める。

 キャプテンを囲むように立つ私達から、次々と石が飛んでいく。


『ひでぇ絵面だwww』

『昔の死刑でこういうのあったよな』

『ゲームでまさかこんな絵面見るとは……』


『だけど、アリスちゃんも他の皆も必死だな』

『そりゃそうだろ、NPCだって生きてるんだぞ』

『この世界のNPCは死んだら生き返らない、わざわざこの放送見てるやつならわかるだろ』

『アリスちゃん……』


『絵面は酷いかもしれないけど、これが今の最善なんだよ』

『誰も死なせない、誰も見捨てないっていう意思だな』

『アリスちゃん、頑張れ!』

『ギルマスも! 他の皆も頑張れ!』


 山のようにあった石が次第に減っていく。

 それはつまり、ゴブリンキャプテンのHPも減っていくということだ。

 まるで気にしないように、タンクを攻撃している、ゴブリンキャプテンが突然動きを止めた。

 忌々しそうに投石を続ける私達の方を見る。


『ヘイト移った!?』

『あかん、攻撃受けたらあかんぞ!?』

『でも、もうちょいなはず……』


 もうちょっと、感覚的に、もうちょっとなはず。

 だから、


「続けますよ!」


 信じる、更に速度を上げて、必死で投げる。

 ゴブリンキャプテンが私達、正確には私の方に走ってくるのがわかった。

 タンクは急に標的を変えたゴブリンキャプテンについていけていない。


 ゴブリンキャプテンと私の間は、わずかだ。

 でも、私は投石をやめない。

 石に手を伸ばす、不思議なことに、石をつかんだ瞬間奇妙な感覚がした。


 これが最後の一個だ。

 まだ投石の数は、残っている、敵のHPもわからない。

 だけど、これを投げれば倒せる、そんな気がした。


 自分の武器を振りかぶるゴブリンキャプテンに向かってそれを投げた。

 ゆるく山なりに飛んでいた石はゴブリンキャプテンの胸辺りにあたる。

 ピタッと、武器を振りかぶったまま動きを止めた。

 私との距離は1メートルもなかった。


 突然、動かなくなったゴブリンキャプテンを目にした皆、全員が投石をやめた。

 一瞬の沈黙の後、固まったままのゴブリンキャプテンの手から武器がこぼれ落ちる。

 そして、ゴブリンキャプテンは後ろ向きに倒れた。


 …………


「……倒した?」


 誰ともなくつぶやく、その言葉を裏付けるように、ゴブリンキャプテンが消えていく。


「消える……、倒した、倒したぞっ!!」


 叫んだのはギルマスだった。


『うぉおおおおおおお!』

『やったぞぉおおおおおおおおおお!!!』

『キャプテン倒した倒した!!』


 全員が歓声を上げた。

 歓声を聞いて、私もようやく倒したことを理解した。

 消えていくゴブリンキャプテンを私はただ眺めていた。


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