大和三山は結ぶ⑤
夕方。団子朗はまた自転車から転んでいました。
「あぁ、やっぱ駄目か・・・・・・」
残念そうな団子朗は、自分の体を見ました。服は砂まみれで膝もすりむいていました。次に側にいた耳成を見ました。耳成もまた服も体も砂まみれでした。
「俺はともかく、なんでお前までドロドロなんだ?」
耳成は汗を拭っていいました。
「人間様が転んでいるのに、耳成だけ転ばないのは、何となく失礼です」
団子朗は怒っていいました。
「転ぶのを真似される方が、よっぽど失礼だ!」
力が抜けたように団子朗はため息をつくと、尋ねました。
「お前、名前は?」
耳成は驚いた後、仕方なさそうにいいました。
「ずっと言ってるよ? 耳成はこの耳成山の守護山娘、『耳成』です、って」
「それは分かった。本当の名前だよ」
耳成はプッとふくれました。
「本当の名前だもん!」
団五郎は諦めたように、声を掛けました。
「じゃあ、耳成」
団子朗の言葉に、耳成は笑顔に変わって答えました。
「何ですか、人間様」
「俺は団子朗だ! だから『団子朗』って呼んでくれ」
耳成は様子を伺うように、瞬きしながらいいました。
「『団子朗様』でいいですか?」
団子朗は怒って言いました。
「団子朗! 『様』なんていらない!」
「ごめんなさい。じゃ・・・・・・ 団子朗?」
団子朗は深く頷きました。耳成は愉快そうにいいました。
「団子朗♪」
団子朗は気恥ずかしそうに答えました。
「な、何だよ?」
耳成はプッと笑っていいました。
「変な名前です」
団子朗は怒っていいました。
「お前の方が変だろ!」




