表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守護山娘シリーズ  作者: 白上 しろ
PR
49/78

大和三山は結ぶ⑥

 香久山。

香久はまだ案山子に話しかけていました。

「良い風です。遙か昔から、ここに吹く風は変わっていないように思えます。 懐かしい感じが致します」

香久の言葉の間、案山子は風でグラグラと揺れていました。そして、ついに倒れてしまいました。慌てた香久は、案山子を大事そうに抱き起こします。

「だ、大丈夫ですか! 人間様!」

香久の大きな声を聞いて、近くにいた農家の男性が駆けつけてくれました。

「どうか、したんか?」

香久はビックリして、目が回りました。

「ほ、本物の人間様!? そんな所にいらっしゃったなんて!?」

香久は、大事に抱えていた案山子を、慌てて乱暴にも地面へ放り投げました。

「何でもありません! 出来損ないの案山子が倒れただけです! すみません!」

香久は泳ぐかのように手足をばたつかせ、そのまま空へと昇って行きました。驚いた男性は幻でも見ているように息を呑んで、空に昇る香久を見上げました。それから有り難そうに手を合わせました。


 畝傍山。

「日が暮れてきました」

畝傍は右手の指先に、火を灯しました。同じように左手にも。畝傍は火を生み出したり、操ったりする力があるのです。そこに若い男女が二人、やって来ました。一人の女性がいいました。

「遅くなっちゃったね」

懐中電灯をもった男性がいいました。

「もうこんなに暗いぞ。引き返そうぜ」

女性が言います。

「お参りしたら、すぐ帰るから」

そんな会話をしながら、畝傍山の山頂に、二人は登ってきました。畝傍もその気配に気がついて、歓迎します。

「こんばんは、人間様」

若い男女は悲鳴を上げました。

「ゆ、幽霊!?」

目の前に火の玉を持った女の子(畝傍のこと)がいたのです。それは驚きます。しかし、畝傍は驚かれたのは自分の事だとは分からずに、後ろに幽霊がいると思って振り返りました。

「ゆ、幽霊ですか!? いいえ、この神聖な畝傍山には幽霊などおりません。見間違いでしょう。それに、もし幽霊がいたとしても、私が除霊します! 悪霊退散!」

畝傍は気合いを入れて、誰もいない山奥に向かって叫びました。若い二人の姿はもうとっくにありませんでした。畝傍は残念そうに、首を傾げながら言いました。

「やはり悪霊の気配はありません。何かと見間違われたのでしょうか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ