表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/69

白きオオカミを追いかけて.4




「ダーカーラ……ナットク出来るカァァッ!! “この組み合わせ”にオレハ、フフクを申し立てル! どうしてお前と一緒にオレサマガ、こんなトコロを歩かなくちゃイケナインダッ! オレはお前がダイッキライダッ」



 男女は辺りをキョロキョロしながら、十字路の前で話している。



「オレの話を聞ケッ、聞こえないフリはヤメロ!」

「うるせえカブトムシ。少し黙れ」

「だーかーらッ、“カブトムシ”はヤメロ! オレには『ノーク』といウ、カッコイー名前が――」


「ねえカブトムシさん。もう一度、お空から見てくれるかなあ?」


「オイ、のんびりネーチャン。さっきからあんた何度目ダヨ。いい加減に覚えロ。マズ、さっきの角を右ダロ、そしたら左、そこから右ニ、左――」

「ああああッ、もうワケ分かんねー! どうしてこんなに複雑なんだよ。これじゃあ出口なんて、いつまで経っても見つけられる気がしねえじゃん」



 ヤストラは、短い髪の毛を掻きむしっている。

 これで果たして何度目の十字路だろう。もはや入口がどこなのか……それすらも判明しない。


 “迷宮”に足を踏み入れて、かなり時間が経っていた。引き返すことは不可能に近い。



 ――また行き止まりだ。もはやこれも何度目か。ずっと彼らに立ちはだかるのは、カベ、カベ、そしてまたカベである。色彩の乏しい風景は、どうやら“人の精神”に少なからず影響を与えるようだ。


「言い出しっぺはヤストラくんだよお。ヤストラくんが、“別れて出口を探そうね”って言ったんだからァ」

「ああそうだよ! そう言ってキョウスケと別れたよ! ああ悪いのは俺だよ、俺ッ! だからこうして必死になってるんじゃねえか!」

「だってこれじゃあ――」


 マキはそこで言い淀む。

 彼女はこれまで、“ミーナ”という存在に頼りきり、そしてヤストラは、“キョウスケ”に頼ってきた。


 そのふたりがこうして、ふたりきりでここに居るのだ。


「……ギブアップとか、ムリ?」

「出来るかァ、そんなもん! いいかマキ、迷っている時に弱音は禁物だ。厳しい時に弱音なんか吐いたら」


 と、もの凄い地響きとともに、まるで山が崩れ落ちるような轟音が周囲の静寂を打ち破る!!


「な、なにかな……? さっきの凄い音」

「おいカブトムシッ、飛んで確認だ!」


 ビシッと指差し、ヤストラは命令する。するとノークは仏頂面で羽を動かすと、やがて空高く舞い上がった。


「まさかキョウスケ……“あっち”になにか起きたか……」

「ウソ。ミーナちゃん!」


 まるで太陽から逃れるように、ノークは小さな両手で日よけを作ると、“その光景”を見て「オオー」と唸った。

「スゲー、ケムリ。こりゃ“ヤッチマッタナ”、ガキンチョとイケてるネーチャン。オシイヤツを失ってシマッタ」


 偵察からすぐにも戻ってきたノークを、ヤストラとマキは厳しい表情で、代わる代わる問い詰める。

「――オイオイッ、君タチ顔がコワイヨッ!! 勘違いスルナ、オレがやったワケジャネー。オレを怒ったところで“イミネージャン”。まあ落ち着けヨ。こんなのハ、“ニチジョーサハンジダ”」


 呆然とするヤストラとマキに、彼は淡々と言った。


「タダのワナだヨ、侵入者避けのナ。オレっちの世界じゃ珍しくもネー。だからこっちも気を付けろヨ。特にそっちノ、のんびりネーチャン。オレサマはなぜカ、“ネーチャン”がドジを踏みそうな気がしてナラナイ。余計なフラグ立てんジャネーゾ」


「じゃあ、さっきのってマジで……」


「あのスゲーの聞いタロ? あれで無事だったら反則ダゼ。ハガネの肉体、って表現じゃ済マネー。ウケケケッ」


「そんなワナだなんて……ミーナちゃん!」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ