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夏至祭を楽しみに、兄も来たる!.4



「“ココ”に、ホントに居んのか?」


 そう言ってヤストラは、とても不思議そうにキョウスケの肩を指差した。


「今、触ってる?」

 するとキョウスケは、うんうんと頷いて見せる。

「マジで?」


 “スクナ”は、とてもイヤそうに、ヤストラが伸ばした大きな人差し指から慌てて身を遠ざける。

「今、クビのところに居るよ」


 わーっと、それを聞いたマキが瞳を輝かせる。


「キョウスケくんの“妖精さん”、とっても可愛かったなあ。お願い、もう一度だけ! もう一度だけ、姿を見せて妖精さん!」

 真剣に頼み込む彼女の姿を見て、“スクナ”は困った顔をキョウスケに向けた。

「そう言えば私、一度も、その“妖精さん”を見てないのよねえ。キョウスケ、ほら早く出しなさいよ」

「ダメだよおミーナちゃん! もっと丁寧にお願いするの。――妖精さん。マキのお願いお願い、オネガーイ!」


 しかし、キョウスケにはどうすることも出来なかった。




「だから、ムリなの」


 注文したアツアツの『島ヤキソバ』を上品にすすり、ラムネを一気に呑み干した草守レイトは、不機嫌そうにハンカチで口を拭った。

「本来、あなたたちは見ることも、触ることも出来ない存在が〈式神〉なの。キョウスケくんも、キョウスケくんよ。私たち〈退魔師(たいまし)〉は、普通そうやって〈式神〉を出しておかない。“愛玩動物(ペット)”じゃないんだから」

 “愛玩動物”と聞いて、キョウスケの左肩に留まる“スクナ”は、ムッとする。カチンときた彼女は、ぷいっとそっぽを向いた。

「じゃあ俺たちはどうして、昨日はハッキリ見えたんだよ」

「昨日が特別なの。あの場所はおそらく、〈ヒガン〉だった。こちらの世界じゃなかったの」

 まったく意味不明、といった表情を、ヤストラとマキとミーナは同時にする。

「滅多に出来る場所じゃないけど、たまにあるの。そういう不思議な場所がね」

「じゃあじゃあ、昨日の神社に行けば、キョウスケくんの“妖精さん”が見られるのねッ!」

 マキは、とても興奮している。スクナは、とても迷惑そうに彼女を見上げていた。



(チッチッチ。レディーのリクエストにハ、チャント答えてやらネーとなオジョー。オレサマはいつだッテ、ジュンビオーケーダ! ゴーゴーオジョー、オレをダセ!)


「だから早くキョウスケくんも、その〈式神〉を戻しなさい」


(ジョ、ジョーダンジャネー! オイ、いいぞガキンチョ。オジョーもアイツをミナラエ! オレサマのストレスは“チョウテン”だゼ!)

「とにかくメリットはないの。自分が〈退魔師〉だって公言して歩くようなものなんだから。〈式神〉の〈魂〉は、あいつらにとって、なによりの御馳走。“エサ”なの」

 すると双方向から、(エサじゃないッ!)とキョウスケの頭を揺さぶる大きな衝撃があった。


「あいつらって?」


 草守レイトは、無邪気に尋ねるミーナを睨みつけた。

「……もう、これ以上は聞かないで。キョウスケくん行きましょう。話すコトは、もうなにもない。私たちは、あなたたちとは違う“人種”なの」

「違うってなに? “人種”とかって……まさか、自分が特別だと思ってるの? それって、かなりキモチワルイんですけど」

 草守レイトは、鼻で笑った。

「コレ、()える?」

 そう言って銀の少女は自分の肩口を指す。


 そこにはなにも――いや、キョウスケには、しっかりと視えている。


 銀の少女の肩の上に現れた“小人”は、しきりになにかを叫びながら、楽しそうに飛んだり跳ねたりしている。


「そういうコトよ。行きましょう、キョウスケくん」

「待ちなさい」


 と――


 

 立ち去ろうとした草守レイトの腕が強く引っ張られる!



 ざわっと、周囲に緊張が走った。





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