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「……で、青春に勤しんでいるところ悪いが、結局お前さんは何をしに来たんだい?」
イーニャお婆ちゃんにそう問われ、確かに何かイーニャお婆ちゃんに用事があったからここに来たような。
そう、つまり……あれだ。何をしに来たか忘れてしまったのだ。
「ええと……何じゃったか……」
「レ、レタアが今抱えている魔法関連の問題について相談しに行く、って……い、言ってなかったっけ? そ、それって、お世話になってるって人に、だったけど、きっとイーニャさんのこと、だよね?」
ニイナの一声で、埋もれていた記憶が蘇って何とか用事を思い出せた。
「そうじゃったそうじゃった! ありがとうニイナ!」
「う、うん……!」
「まぁた面倒ごとを持ってきおったのかい。」
そしてニイナの言葉で色々察したのか、苦い顔を見せるイーニャお婆ちゃん。面倒ごと、だなんて酷い言い草じゃあないか。
そう咄嗟に返答してしまうところだったが、でもまあ、今まで何度もイーニャお婆ちゃんに色んなことを相談してきた前例があるからな、そう思われていても仕方ない。と、すぐさま納得した。
それでも追い払ったりしないところを見ると、一応話は聞いてくれるらしい。その雰囲気を察して話してみる。
「実は……」
今はここにいる皆の魔力を向上させるために頑張っていること、その為にも少しでも魔法発動時に魔力の無駄を省こうと呪文の改良を進めていること、そしてアラレイル家の呪いのこと。
それら全てにおいて、うまく行かないこと。
ツラツラと今ワシの周りで起きていることについて声に出してみると、不思議とワシ自身の頭の中も整理されていく。これだけでも今日ここに来た甲斐があったな。
「……これまた世界がひっくり返りそうなことに首を突っ込んでいるのかい。」
イーニャお婆ちゃんはワシの言葉を聞いてハァーと大きな溜め息を吐いた。ついでに頭も痛いのか手を当てて俯いた。
「それで、魔法の天才様ですら分からないことを、何故わえに相談するんだい。」
「いや、ただ話を聞いてもらいたかっただけかもしれない。今のでだいぶワシの頭の中が整理されたからな。」
それに『もしかしたら』この話を聞いた後の雑談の中にヒントが隠れているかもしれない。
はたまた『もしかしたら』この後の夢の中で良いヒントが降ってくるかもしれない。
そんなもしかしたらの確率を増やす為にも、この話を知っている人数を増やすのが一番。そうすればその人数分の『もしかしたら』が集まるからな。
「そうかい。」
「ここでちょっと雑談したくらいでパッと答えが出るんだったら、きっとワシがここまで悩むほどのものではない。そうじゃろう?」
「それもそうさね。」
ハハハー、とババア二人は笑い飛ばした。が、他の四人はそのノリについて行けずに呆然としていたのだった。




