【最終話】恋愛感情らしきものは見つかりましたが、でも…
探していた「恋愛感情」らしきものは、見つかったと思っていた。
だけどまだ、本当は良くわかっていなかった。
依存や執着と、性欲と、なにがどう違うんだろう。
逃げられたり、うまくいかなかったりするから、欲しくなるだけなのかもしれないと亜梨花は思った。
簡単に手に入るものは、やっぱり簡単に扱いがちだ。
一樹のことも涼に言われた。
優しいって言うけど、甘やかしとどう違うんだって言われたんだ。
亜梨花に媚びてるみたいに見えるらしい。
でも、亜梨花の全部を受け入れようとしてたり、素直に話を聞く態度も好感持てるし、そして努力しようとしてるだけでも、透弥よりマシだって。
透弥には惹かれる要素はあるんだけど、すぐケンカになるの、なんでだろう?
合わないのかな?
わたしの男関係、会社の人にまでバレてしまってて公私混同で恥ずかしい。
「わたしも全然だめ、まだまだ子どもだよ精神的未熟者」
そういえば一樹からLINEもらってて放置していた。
亜梨花は帰ってきてからLINEを開いてみた。
『夕日と夜景見に行かね?』
デートのお誘い? が書いてあった。
放置した後のお断りって、ダメージ与えるかなと思ったけれど、いまはそんな気分じゃなかったので
『ごめん行けない』
と返しておいた。
一樹くんはいい人なの。
優しい人なの、料理も作ってくれたし、わたしのことも好きでいてくれて、いつも助けてくれたり、力になってくれたり、いろいろ…本当にいろいろと…
なのになんで、なにが?
なにが恋愛感情に届かないんだろう?
一緒に飲もうって言われたら飲めるのに、デートしようって言われると無理だって思っちゃう。
気軽に呼べて、気軽に遊べる友達。
そういう位置にいる。
そうなんだよね、友達枠としては完璧なひとなのだ。
「家族的なやつ?」
そう考えてからハッとした。
「あ、お兄ちゃんだ!」
守ってくれようとするし、いろいろ助けてくれるし。
そっか、お兄ちゃんだから恋愛感情にならない。
そして、お兄ちゃんだから……できない。
「ね、どうこの仮説」
次の日、事務所で海斗くんに聞いてみたら、なにやらしばらく考え込むような様子を見せた。
「お兄ちゃん、お兄ちゃんなのか? え、そうなのか?」
思ってたより、重めに真面目に考えてくれてるみたいだった。
「だからさ、お兄ちゃんはほかに彼女作ればいいんじゃないかなって私は思ってるんだけどね」
「……そっか、彼女作ったほうがいいのか」
「うん、そう思うんだよ、お兄ちゃんの幸せを見届けたい」
「だとしたら、弟…、いや妹にも彼女…じゃない、えと間違った、妹だから彼氏か、彼氏がいないと不公平だよな。兄ばっか幸せになるわけにはいかないよな」
亜梨花の仮説が難しかったのか、海斗くんが混乱していた。
「まあいいや、ねえ今夜ご飯行こうよ、そこでいろいろ話したい」
なんとなく気になる海斗くんを、誘ってしまった。
でも、この人はわたしに何にも興味がなさそうで、逆にそういうところが追いかけたくなるポイント?
なのかもしれないなって思っていた。
「今日はいきなり無理だけど、明日なら」
なんでも、今晩のご飯作らないといけないらしい。
そうだった、海斗くんは4人でルームシェアしてるんだ。
1人暮らしの私みたいに、身軽じゃない。
でも、明日の約束ができた。
帰ってから、シャワーを浴びて冷蔵庫から冷えた缶チューハイを取り出す。
グラスに氷を入れてそこに注ぎ入れるという、ちょっとした手間をかけてみる。
誰から言われたか忘れたけど、自分を大事にしろって、こういうことかな?
良くわかんないけど。
あ、そうだ。
一樹にも伝えておこうと思ってLINEを開く。
『わたしの考えた仮説について』
それから透弥にもLINEした。
『人間のレベルについて』
メールだとタイトル欄があったけど、LINEにはそれがない。
あえてタイトルだけのようなLINEを送った。
先に返事が返ってきたほうと、今後のことを考えようかな?
なんて、自分で決められないからそういう『先着順』みたいなものに頼ってしまうんだけど、どっちもどっちだしいいじゃん。
テーマが難しすぎたのか、意味不明のLINEで返事に困ってるのか、はたまた未読状態なのかわからないんだけど、どちらからも返信がない。
チューハイを飲みながら、テレビをつけて見ていた。
あんまり面白くない。
テーマが難しすぎたのか、意味不明のLINEで返事に困ってるのか、はたまた未読状態なのかわからないんだけど、どちらからも返信がない。
チューハイを飲みながら、テレビをつけて見ていた。
あんまり面白くない。
近いうちにまた出張がある。
今度は長崎らしいけど、涼がケガをしているのでどうなるんだろうか。
自分自身の気持ちの整理のためにも、透弥や一樹のためにも、しばらくふたりと離れてみるのも悪くないのかなって亜梨花は思った。
そして、亜梨花がベッドに入ろうとしたとき、LINE着信。
「あ、返ってきた?」
どっちからだろ?
それとも別のひとから?
亜梨花はLINEを開く。
「あ……」
そこには丁寧に亜梨花の出したテーマへの回答? 気持ちが書かれていた。
「そっか、ふふ」
亜梨花はスマホを閉じ、明かりを消して目を閉じた。
☆【本編完結】☆
読んでくださりありがとうございました。
〜続編LOVE MAZE2〜恋の答え合わせ~好きになる人を間違えてますか?
もうすぐ公開します




