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LOVE MAZE〜ラブメイズ〜私の恋愛感情知りませんか?  作者: 水波瀬なぎ


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17/21

【第17話】めんどうだから透弥と別れちゃえと言われました

一樹はまた亜梨花の家に来ている。


ピンチのときに呼ばれたとあって、一樹はかなり機嫌がいい。


亜梨花は改めてお礼を言った。


「ったくよー。透弥には功至が見張りみたいについてるしな、これを機会にすっぱり諦めるのもいいかと俺は思うわけだ。な? それがいいよ、そうしよう」


「そうだね、そうしようかな」


今回のように、何かあるたびに功至が出てくると思うと、透弥に対して何も言えないし出来ないのは目に見えている。


あんなに乱暴な功至、いつ亜梨花に手をあげてくるかも、わかったものじゃない。


フラれるってことが、プライドの邪魔をするとすれば、亜梨花から先に別れを告げるのもいいかもしれない。


「今から透弥くんと別れるね」


いきなり亜梨花は言って、電話をかけた。


すぐに透弥は出た。


「あのね、わたし、透弥くんと別れるから」


そう告げると、透弥は何か言ってたようだけど、無視してそのまま電話を切った。


そして着信拒否までしてやった。


「終わったー。別れたよ。今からわたしは自由だ」


妙に心がスッキリしていた。


「またまた亜梨花ちゃん、思いつきで行動するから。後悔しても知らねーぞ」


「後悔なんかしないもん」


「そっか? じゃあ、俺と付き合おう」


「それはダメ。まだ付き合わない」


「ええー。何でだよー」


「しばらく自由を満喫するの。それまでいいオトモダチでいようね、一樹くん」


一樹は大袈裟にため息をついた。


一樹とは、こんな風に何でも気軽に言える。


これは恋人同士じゃないから?


この距離感が心地いい。


まだしばらくの間、一樹とはこんな風にしていたいと思った。




ウエディングショーは大成功に終わった。


海斗くんがあまりに素人過ぎたのが逆に良かった。


めちゃくちゃ緊張してたみたいで、誓いのキスのとき、海斗くんがうまくできなかった。


新郎役が亜梨花の頬にキスすることになってるんだけど、できないっていうならしょうがない。


亜梨花のほうから、海斗くんにキスした。


緊張緩むかな? 


と思って海斗くんの唇奪ってしまった。


緩むには緩んでくれたみたいだけど、涙腺まで緩んだ?


海斗くんが涙を流した。


そのおかげで、観客までももらい泣きするという、ものすごくリアルな演出。


いや違う、ありのままの結婚式みたいだって、後のアンケートでも好評だったことがわかったのだ。





ショーの打ち上げで、また亜梨花は飲み過ぎていた。


「おい海斗、新婦を送ってけ」


海斗くんはお酒が飲めないと言って、飲んでない。


めちゃくちゃ嫌そうな顔で送ってくれた海斗くんだけど、やっぱり唇奪ったことを怒ってるのかな?


「ごめんね、もしかしてファーストキスだった?」


「いえ、違いますけど」


こっち見てくれないし、あまりしゃべってくれない。


まあ運転中だしね。



アパートに着いたら今日も、一樹が来てた。


「じゃ、またね」


海斗くんを見送ってから、一樹に手をふる。


と、そのとき、後ろから車のライトに照らされた。


「なに?」


「まぶしいじゃんか!」


ふたりで振り返ると、透弥の車。


「ブロックされてたら連絡できねーじゃん亜梨花」


透弥が車からおりてきた。


「亜梨花、一樹が好きになった?」


「透弥くんには関係ないもん」


「ふーん、そうやってふたりでいつも会ってたんだ?」


透弥はさらに続けた。


「俺、まだ別れたつもりないからな」


すると一樹が亜梨花の代わりに答えた。


「透弥、俺が悪いんだ、俺が強引に亜梨花のこと押しまくってた。亜梨花さ優しいんだ、頼まれると嫌って言えねーんだ。お人よしすぎるんだよな」


一樹がすごくいいほうに解釈してくれる。


「そっか、それでよってくる男の頼みを断れなくて、体まで惜しみなく与えてやってたってわけ?」


透弥の目は冷たく亜梨花を突き刺す。


「なんでも受け入れればいいってもんじゃねーだろ! 単に流されやすいだけなんじゃねーの? 自分からスキ作ってるし、そういうのお人よしっていうわけ?」


「ちょ、透弥、言いすぎんなよ。しょうがねーじゃん、亜梨花って人目引くし、男が勝手に寄ってくるんだよ。亜梨花ひとり責めんなよ!」


一樹はかばってくれるのに、透弥はさらに攻撃してきた。


「その気がねーなら断われるだろ! 部屋に男入れねーだろ! 亜梨花さ会社のやつとも浮気してんだろ? しかも2人?」  


2人って、誰と誰のこと?


涼と……まさか海斗くん?


いま、見られたってこと?


「それは違――」


「言い訳すんな! ひとりの男じゃ満足しねーんだよ。好きじゃなくても簡単にやれるんだろ!」


透弥はそこでいったん言葉を止めて、息を大きく吐いた。


そしてさらに続ける。


「俺とつきあっていながらさ、俺のこと好きって言いながらさ、普通の女ならそんなことしない。おまえ変なんだよ、おまえの好きはやっぱり本物じゃなかったってことなんだよっ!!」


聞いてるとひどい言葉なんだけど、透弥の言ってることは笑えた。


簡単にやれる?


え、誰とやったって?


わたしが、透弥くん以外の誰とやった?


浮気?


知らないんだけど、記憶にない。


「アハハッ」


「なに笑ってんだ!」


透弥が怒鳴った。


「透弥くんなんか好きじゃない、好きってなに? わかんないよ!」


しばらくお互い、にらみ合ってた。


先に目をそらしたのは、透弥のほうだった。


「わかったよ」


うつむいて表情は良く見えなかった。


「好きでもないやつに、束縛されたくねーよな、いいよ、別れてやるよ。勝手に……好きにすれば、いいじゃんか!」


透弥はそのまま車に乗ると行ってしまった。


最後のほうは声がふるえてて泣いてたみたいだった。


胸の奥が苦しくて痛かった。


「ってか亜梨花、良かったのかよ、あんな別れ方」


一樹がおろおろしてるみたいに見える。


こっちも笑える。


「ねえ一樹くん、わたしって体も惜しみなく与えてたっけ?」


違うよね?


「ああ、かなり透弥の誤解は混ざってた、と思う。少なくとも俺にはなにも……でもどこまでが本当なのかは、亜梨花しかわからないよな?」


一樹までわたしのことを、そんなふうに見てたんだな。


「今日はごめん、帰って」


一樹を部屋に入れることなく、亜梨花はドアを閉めた。




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