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LOVE MAZE〜ラブメイズ〜私の恋愛感情知りませんか?  作者: 水波瀬なぎ


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13/21

【13話目】でも、なんでわたしから連絡するの?

納得してないと、なかなか行動に移せないものらしいことに、今さらながら亜梨花は気づいた。


どうして私から連絡取らなきゃいけないのよ。


考えてみれば、亜梨花も常に受け身だった。


男が好きだと告白してきて、付き合いが始まる。


中には、俺のこと好きじゃなくてもいいから、とりあえず付き合ってみようと言われて始まったこともあった。


好きじゃないのに付き合うのもどうかと思うけれど、相手がどうしてもと言うし、暇つぶしでもいいと言うから応じてただけなのに、だんだん相手の要求が大きくなる。


そうなると束縛や干渉がウザってなって、LINEの返事をするのも面倒になる。


もう俺が嫌いになった? なんて聞かれたらもうダメだ。


最初から好きじゃない、とも言えなくて「ごめんね」と言って終わりにする。


そんなことの繰り返し。


男なんか面倒なのだ。


面倒だから、いらないって思うのに……。


「ああ、イライラする!」


亜梨花は立って冷蔵庫を開けた。


そこには週末に飲む予定の赤ワインが入っている。


今日はまだ週末ではないし、明日もウエディングショーが入ってるけれど、飲まずにはいられない気分。


コルクを空けて、ワイングラスにワインを注ぐ。


キレイな色、おいしそうな香り。


それだけでも心が落ち着いてくるのがわかった。


ワインを飲み始めてすぐ、来なくていいのに一樹が来た。


「なんか用?」


思い切り不機嫌な顔で言ってやったら、一樹はひるんだ様子を見せた。


けれど、それは一瞬のことで、笑顔を作りながら手に持ったいつものスーパーの袋を亜梨花に見せた。


「ヤケ酒飲まねー?」


「ヤケ酒? 誰がヤケになってるって言うのよ!」


確かに不機嫌だけど、何で一樹にバレているんだろう。


「いいからいいから。ワイン好きだろ? あ、もう飲んでるのか?」


部屋の中を覗くようにして、強引に部屋に入ろうとする。


「入っちゃダメ。入っていいなんて言ってないんだからね」


「気にすんな。俺と亜梨花の仲じゃん。いまさら遠慮すんなよ」


「そこまで気を許してるわけじゃないし」


「そんな口尖らせてると、キスするぞ」


「え……」


「あ、ごめん。今のは冗談。引いたよな。悪い悪い」


悪いと言いながら、全く悪びれた素振りも見せず近づいて来る。


「ダメだってば! わたしの唇は高いんだからね」


一樹の身体を手で押しのけながら顔を背けた。


「高いってどれくらい? 身体で払うよ。って、いくら何でも悪乗りし過ぎ?」


笑いながら言う一樹は、どうやら本当に冗談で言ったりやったりしているらしいと思えた。


なので、亜梨花も少し警戒を緩めて、冗談に付き合ってみる。


「ふん、その身体じゃ無理ね」


「あ、言ったな? この身体の良さを知らないくせに。後でおつりあげるわって言われても受け取らねーからな」


「借金してもムリムリ、高級品なのよ、わたしは」


「そうか、じゃあ物は試しにやってみようか」


一樹がいきなりTシャツを脱いだ。


急に目の前に一樹の裸を見てしまい、かなり驚いた。


しばらくの間、その身体を凝視してしまう。


見惚れていたのとは、違う。


文字通り、亜梨花は固まってしまっていた。


「はは、マジに驚いてやがる。冗談だよ、冗談。彼氏のいる女に誰が本気で手を出すかって」


あはは、と笑って一樹は脱いだTシャツを頭から被る。


「そ、そんなのわかってるよ。誰が本気にするもんですか」


言いながら、心の中ではかなりドキドキしていた。


「そっか? 結構本気にしてたっぽかったけどな。顔赤くなってるし」


からかわれたようで、腹が立つ。


「バカにしないでよ。もう、帰ってよー」


勝手に玄関の中にまで入って来ていた一樹を追い出そうと、手を上げた。


けれどそれは、すぐに樹につかまれる。


「放しなさいよ」


「亜梨花さ、マジで隙ありすぎ」


「一樹くん、冗談だって言ったじゃない。手を出さないって言ったでしょ」


「そんな言葉、信じるなよ」


「ウソなの? 手を出すの?」


少しだけ真面目な顔をした一樹を、安易に信じた自分を悔やんだ。


「そりゃあさ、出していいって言うなら俺も男だし、下心ありまくりだし、こんな目の前に好きな亜梨花ちゃんがいたらさ、我慢にも限度はあるよ」


一樹は手を放してくれた。


目はまだまっすぐ亜梨花を見ている。


「わたし、透弥くんと付き合ったんだよ」


「知ってる。だから諦めようと思ってる。けどさ、功至にも聞いたんだけど、おまえら上手くいってねーって言うじゃん?」


また功至の名前が出てうんざり。


「透弥だって、自分から行けねーとか言って、亜梨花からの連絡待ってるばかりだしさ、そんなの本気で好きって言えるのかな、別れちゃえよ、透弥と」


一樹は本気だ、まだ諦めてくれてないのだ。


好きとか、別れろとか、そんなこと押し付けられても困る。


「だからって、透弥くんと別れたからって、一樹くんのこと好きになるか保証できないよ」


「いいよそんなの。わかってるよ。急に好きって言われるほうが信じらんねーよ。俺、待ってるからさ。亜梨花が好きになってくれるまで待つ」


「だから、さっきも言ったでしょ、待たれても困る」


「ああ、待ってても叶うかわかんねーけどさ。でも、先のことなんかわかんねーだろ? 亜梨花が気の迷いで俺を好きになってくれる可能性だって、ゼロじゃねーって思う」


気の迷いとか可能性ゼロとか、何言ってんの?


「でもさ、一番近くにいさせてくれないかな。一番の友達でもいいし、側にいたいんだ」


かなり真面目な告白なんだろうけれど、言葉が頭の中を素通りしてゆく。


申し訳ないけど、まったく心に響かない。


好きじゃないんだ。


と、亜梨花は思った。


「今日は帰るけどさ、また来るね。また来てもいい?」


「……うん。いいけど」


可能性がないなら、この場ではっきり断ったほうがいいのではなかっただろうか。


でも、この状況で「もう来ないで」とも言いにくい。


これって、流されていると言うことだろうか。


「なんか困ったことがあった時はさ、いつでも言えよな。おれはずっと亜梨花の味方でいたいし、遠慮なんかしなくていつでも呼んでいいしな」


「うん、ありがとう」


一樹は、持ってきたワインを置いて帰った。


ひとりで飲んでてって言われたけれど、飲んだらいけないような気が、なんとなくしていた。


スーパーにある1000円もしない安物ワインだけれど……。


これまでにも一樹は、スーパーに寄っては買い物をしてきて、ここでご飯を作ってくれた。


今日のように、ワインを持ってくることもあった。


一樹の好意に甘えていたけれど、かなりの金額を使ってきたのではないだろうか。


自分で貧乏だと言っていたし、壊れそうなアパートに住んでいる。


部屋の電気だって、まだ蛍光灯だったし。


車だって、お父さんのお下がりって言っていた。


わたしの世話を焼いてる余裕は、ないはずなのに。


好きでしてくれてることだろうし、気にしなくてもいいのだろうけれど、


改めて考えると、やっぱり気になる。


それに引き換え、透弥と言えば、何もしてもらってない。


これでは、どっちが彼氏かわからない。


亜梨花は、スマホを手に取り、透弥に電話をした。

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