↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LOVE MAZE〜ラブメイズ〜私の恋愛感情知りませんか?  作者: 水波瀬なぎ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/21

【10話目】よくわからないまま流されてつきあってしまいました

一樹は、亜梨花を少し引っ張ったものの、すぐに手を離してくれた。


「ごめんね、今日は帰る」


気まずい雰囲気にこそなったけど、あとからLINEで『ほんとにごめん』と書いてきたから亜梨花も『うん、大丈夫』と返しておいた。



以前、嫌いな人からキスされそうになったことがあった。


とっさによけたものの、唇に少しかすめてしまって、嫌悪感でいっぱいになった記憶があった。


一樹のことは、嫌いではない。


嫌悪感も特にないけど、恋愛感情はないのだと思う。


嫌いだったらもちろんキスしたくないんだけど、キスしてもいいと思った透弥のことは……。


「好きってことかなぁ?」


声に出して自分に問いかけてみた。


「……微妙?」


どうしてか、好きって言葉を使った途端、好きじゃないと言う気持ちに陥る。


だって、好きってもっと熱い気持ちではないのか。


会いたいとか、どうしているか気になるとか。


そういう気持ちとはまったくかけ離れているのだ。


好きじゃないのに、キスやエッチはいいって、紗夜の言葉を借りるなら、まるで淫乱女みたいだ。


でも、淫乱って、誰かれ構わずに関係を持つような女のイメージがある。亜梨花はそれとは違うはず。


「淫乱じゃないもん」


スキはあるかもしれないけど。


と、心の中で突っ込んだ。


ふと鏡を見ると、眉間にシワが寄っていた。


あんまり考えすぎるのはやめよう。


亜梨花はバスルームに行き、シャワーを浴びた。


部屋に戻り、顔にパックをしていると、着信音が鳴った。


「あ、寝てた?」


電話は透弥からだ。


「ううん、まだ。パックしてるところ」


パックしたままだと、上手くしゃべれない。


はがす予定時間まで、あと2分くらいあったけれど、亜梨花はパックを顔からはがした。


「パックって、顔が白くなるやつ?」


「ううん、ごめんね素肌」


「え、ごめんね?」


「あ、えとね、貼るやつ、シートマスクっていう…」


伝わらないかな?


「まあ、良くわからないけど、いつもパックしてるの?」


「いつもじゃないよ。明日からウエディングショーの仕事があるの。お化粧されるからね」


いつもやってないから、集中リペアなんだよね。


「ウエディングショーって、何?」


いつもLINEばかりで、滅多に電話をしてこない透弥からの電話は、なんだか新鮮だ。


ちょっとだけ、心臓がドキドキしている。


「シーサイドチャペルってあるでしょ。あそこで一ヶ月間。週末だけなんだけど、結婚式の見本みたいなことをやるの」


「見てみたいかも」


透弥が興味を示してくれる。


「見に来ていいよ。見せるためにやるんだもん」


「亜梨花のドレス姿、キレイそう」


「どうかな~、見て確かめてみて」


「今から見に行く」


「え。今は仕事してないよ。明日だよ」


「違うんだ。今、下にいる」


「下? 下って」


「亜梨花のアパート」


「え、来てるの?」


亜梨花はスマホを耳に当てたまま、玄関のドアを開けた。


階段の下に透弥がいた。


亜梨花に気がつくと、持っていたスマホをおろして、手を振る仕草で微笑んでいる。


「急にどうしたの? ビックリしたよ」


階段をおりていく。


「なんか、急に顔が見たくなった」


「うん……」


いつ会ったきりだっただろう。ちょっと久しぶりだからまっすぐ顔を見るのが照れ臭い。


「夜遅くにごめん。すぐ帰るし」


「帰るの?」


思わず聞き返してしまった。


「帰らなくていいなら、帰りたくない」


帰らなくていい、というつもりで言ったのではなかったけれど、透弥の顔を目の前にしていたら、「やっぱり帰って」とも言えず、


「じゃあ、ちょっとあがってく?」


誘ってしまった。




何でこんなことになってるんだろう。


コーヒーでもいれようとしていたとき、背後に透弥が立っていて、そして……。


アッと思ったときには透弥に抱きしめられていた。


じっと亜梨花を見つめる目。


あれがいけない。


きっとそう。


あの目に、吸い込まれるように、惑わされるように、心が惹かれるのだ。


なんだかわからないけれど、体が吸い寄せられるのだ。


目を閉じた瞬間、透弥にキスされた。


決して強引ではない、どちらかと言えば遠慮がちに触れる唇の感触と、背中に感じる、軽く抱き寄せられている腕の感触。


どちらもふわふわと心地よくて、だんだんうっとり陶酔してくる。


いつの間にかキャミソールの紐が引っ張られていて、透弥の手のひらが胸元を探る。


触れたままの唇の隙間から、耐え切れず声が漏れる。


透弥の唇が胸までおりてきた時、亜梨花の理性は本能に負けた。


体に力が入らない。


ふらふらの亜梨花を、透弥がベッドに運んだ。


どうしてこんな展開になってるの?


どうしよう。


すごく気持ち良くて、頭が真っ白だ。







「亜梨花、ねえ亜梨花?」


頬を軽く叩かれて、亜梨花は目を開けた。


「良かった。気がついた」


「……私、どうしちゃったの? あ、寝てた?」


「ごめん。俺、夢中になってて。気づいたら亜梨花の意識がなくなって、反応なくなってて」


そうだ。


途中で頭の中が真っ白になって、何がなんだかわからなくなってた。


「ごめん」


透弥の目は、今にも泣き出しそうに潤んでいる。


「大丈夫だよ」


「俺、暴走して、亜梨花のこと殺しちゃったかもって思って……」


殺しただなんて、そんな大袈裟な。と思ったけれど、透弥はどうやら本気で怖かったらしい。


その青ざめた表情が、不安だったことを物語っている。


「わたしこそ、びっくりさせちゃってごめんね。何だか、すごく気持ち良くなって……」


「それって、俺が好きだから?」


「……好き?」


「うん。好きなひととすると、気持ちいいって言うし」


俺も気持ち良かった。と透弥は照れたように笑った。


「俺は好き。亜梨花が好き」


だから、そんな顔でそんな風に、そんなセリフを言われると――。


そうなのかもって思ってしまうじゃない。


「亜梨花は?」


「わたしも好きなのかも」


ほら。


流されちゃった。


「え……、それ本当?」


透弥の目が、パチパチと大きく瞬きした。


驚いたような表情までもが、引き寄せられてしまう。


「確認しないで。わからなくなるから」


そうよ。


顔に惑わされてるだけとも考えられる。


「亜梨花、深く考えすぎ」


「そうかな」


「そうだよ。認めてよ。亜梨花は俺が好きなんだよ」


「そっか」


良くわからないけれど、これが好きって気持ちなのだろう。


透弥のじっと亜梨花を見つめる目。


何故だか知らないけれど、キラキラ輝いて見える。


この目を、この顔を、ずっと見ていたいと思った。


わたしだけ、見て欲しいと思った。


「わたし、透弥くんが……好き」


「じゃあ、今から亜梨花は俺の彼女。だね?」


透弥の「だね?」って笑った瞬間の笑顔にクラッときて、亜梨花は促されるように、うなずいていた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。