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第55話 娯楽の拡大


 創星村にて、なんだかんだと日が暮れるまで楽しくテニスをプレイして、俺たちはその日、ぐっすりと眠った。


 そして翌日。俺たちは、オデュッセイア号に乗り込み、大陸の分星村ぶんせいむらおよび煌星村こうせいむらへと向かう。


「分星村も、そのうち人を呼んでいいかもね」


 かえでがぽつりと言う。


「そうよね。元々、エインダたちと戦うための基地みたいな扱いで作ったけれど・・・・・・脅威のない今となっては、私たちだけで使うのはもったいないよね」

「まあ、心配しなくてもいいですよ。ゼウス号の乗員は、まだまだ沢山いますから。住民は、すぐに増えますよ」

 とヨル。


 とはいえ、まだまだこの惑星コンスタンティアには、未知の領域が多い。探索するところは、まだいくらでもある。



「おお、リヒト村長が来たぞ!」


 煌星村こうせいむらに着くや否や、住人たちが数人、駆けよってあいさつをしてくる。


「よしてくださいよ、その村長って呼び方・・・・・・」


 知らぬ間に、煌星村こうせいむらでは俺はこう呼ばれるようになっていたのだ。村とは称しているが、村長なんてのはガラでもないと思っているのだが・・・・・・


「いえいえ。我々を導いてくださる、村長でしょう!」


 一際体格の良い、二十代前半くらいの男性が、大きな声でそう主張する。


「おう・・・・・・ま、期待に添えるように頑張ります・・・・・・」

と俺は、小さな声で答える。


「それで、何か異常はないですか?」

「はい。食糧自給率は、いまのところ安定しています。ですが、やはりどうも野菜が欲しいとの声があるようで・・・・・・」

「了解です。畑にく種や苗は、次に創星村から持ってこよう。あと、食糧庫から野菜サラダとかの冷凍品は持ってきて・・・・・・」

「リーフレタスだと、ほどなく収穫できますね」


 ヨルがアドバイスをしてくる。


「だな。で、水の方の供給は・・・・・・」


 俺は、煌星村こうせいむらのあちこちを巡りながら意見を聴き、課題を見つけて、ヨルと相談しつつ、対処案を考えていく。


 うん。やはり、住人が増えたから、することもそれに伴って増大しているし、ちょっとは村長っぽいことしているかもな、俺。



 休憩時。ひとまず集まれる煌星村こうせいむらの住民には、全員集まってもらって、俺は創星村そうせいむらでテニスコートを作ったことを話す。ここにも、作ってみようかと提案したところ。


「おおっ!・・・・・・それはいいですね、村長!!ぜひぜひ、テニスコート、やりましょう!」

「おいちょっと待て。それなら、サッカーの方が良いんじゃねえのか? サッカーなら、ボールさえあれば・・・・・・」

「ボールなら、バスケもいいだろう!!」

「おい、それなら野球だろうが!」

「いや、ここはプール一択。プールなら、大人からこどもまで、誰でも遊べるし、水球だって出来るだろう!!」

「なにを!! それならば・・・・・・」


 あらら・・・・・・なんか、予想以上に議論が加熱している。スポーツ好きって、こんなに多いんだな。


「はいはい! みなさん、リヒトくんは一人なんですからね! とりあえず、今日作れそうなものを考えます!」


 陽奈ひなが、場を収める。ま、賑やかなのは、良いことではあるのだがな。

 

 そうしてまあ、なんやかやと三十分ばかり話し合った結果、まずは穏当にテニスコートを作ることになった。俺たちも昨日一度作成しているので、やりやすいしな。


 ということで、早速昨日と同じ手順で、テニスコート作成を開始する。



「良かったじゃん。大盛況だったわね」


 夜。分星村にて。お風呂上がりの陽奈が、リビング棟にいた俺にそう声をかけてくる。


「ああ、まあな。まさか、あれほどとは・・・・・・」


 夕方頃に煌星村こうせいむらの一角に完成したテニスコートは、まあなんというか、めちゃくちゃな盛り上がり方をした。仕事の終わった住民たちがやってきて、我も我もとプレイ。あげく、アルテミスとの試合まで望む奴がいたので、ヨルに頼んでスポーツモードのプログラムを急遽追加して、アルテミスに相手してもらった。さすがに汎用型ロボットなので、テニスも鬼強かったのだが、「これは良い練習相手になる!」と、一部の住人たちは大喜びだった。


「なんかさ、娯楽も増えて、本格的に村・・・・・・というか、文明が始まったって感じだよね」

「文明って・・・・・・おおげさだな」


 陽奈は、手にしたコップに満ちた紫色の飲み物を軽く口にする。


「ううん。だってさ、もともとわたしたちって、そのためにこの星に来たわけでしょ。地球以外の世界で、新しい文明を築き上げる・・・・・・それが目標だったはずだよ」

「それはそうだけれど」


 陽奈が、力強い瞳でじっとこちらを見つめてくる。ちょっと気恥ずかしくなってくる俺。


「だからさ、ゼウス号爆発っていう、最大級のトラブルはあったけれど・・・・・・それでも、わたしたちは、当初の目的に向かって前に進んでいる。それでいいんじゃないかな」

「・・・・・・だな。それで、話は変わるが、陽奈が今飲んでいるのは、なんだ? 初めて見るな・・・・・・」

「あ、これ? わたしとはづで作ったんだ。いくつかの果実をすりつぶして、メロンみたいな味がするジュース。リヒトくんも飲む?」

「一杯、お願いするよ」

「りょーかい。それじゃ、ちょっと待っててね。すぐ準備するから・・・・・・」


 陽奈がいそいそと作業を開始する。


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