第41話 明日に向けて
一日が終わろうとする夕暮れ、完成したアルテミス二号機と三号機が同時に起動した。光学センサーが赤く灯り、三体のアルテミスが格納庫に立ち並ぶ。
その横にはクロスボウ、そして新たに考案した非殺傷武器パラライズ・ガンが並ぶ。
葉月がクロスボウ、そしてパラライズ・ガンを手に取りながら言う。
「あくまでも平和的にいきたいわよね。話せば分かる、というのは理想論なのかもしれないけれど・・・・・・だから、念のための備えは怠らない」
「私、地球で交渉術の本を少しは読んだことあるから・・・・・・でも、役に立つかな?」
楓がぽつりとそうつぶやくと、陽奈と雫が顔を見合わせた。
「交渉術の本?」
「うん。でも、どこまで覚えてるか。譲歩の仕方とか、落としどころの見つけ方とか、色々書いてた」
「それは頼もしいな」
俺が言うと、楓は少し照れたようにうつむいた。
「エインダが、話の通じる相手なのかどうか、そこが問題よね」
葉月の言葉に、雫が返す。
「少なくとも、私が見る限りは、話の通じる相手ではないわよね。だからこそ、武力を見せるのは有効かもしれない。話し合いのテーブルにつかせるために」
「そういうやり方は、本当はあまり好きじゃないんだけれどな」
「仕方ありませんよ。ときには、言葉だけじゃどうしようもないこともあるんです」
ヨルが、どこか寂しげに言う。
「でもさ、エインダさんは、どうしてそんな風になっちゃったのかな」
陽奈の問いに、雫はしばらく考えてから答えた。
「これは私の憶測だけれど・・・・・・たぶん、怖いんだと思う。この星に放り出されて、どうしていいかわからなくて。アシスタントAIの言うことも、信じられなかったんじゃないかな。だから全部を管理しようとした。管理すれば、少なくとも自分は安全だから」
「安全、て思い込みたいだけだよね、それは」
陽奈が静かに返す。
「そうだな。俺はエインダって奴をまだ知らない・・・・・・でも、もし根っこにあるのが恐怖なら、それを取り除く方法はあるかもしれない」
「そうだね」
陽奈がうなずく。
「俺は運が良かっただけかもしれない。遭難したとき、まずヨルがいてくれて、そしてデミがいてくれた。それから、陽奈、葉月、楓、そして雫と、良い仲間にも恵まれた・・・・・・」
「あの、みんな。ちょっと提案があるんだけれど・・・・・・」
楓がおずおずと手を上げる。俺たちは、先を促す。
「リヒトくんってさ、これまでずっと、この島を開拓して、村を創り上げたわけじゃん。だったらさ、その方向性で、そのエインダたちとも勝負するべきじゃないかな・・・・・・」
楓の話を聞き終えた俺たちは、一様にうなずく。
「楓ちゃん、それ、いいかも」
「そう、かな?」
「うん、ひとつ、やってみよう」
俺は頭の中で、楓の案を反芻する。たしかに、俺たちらしい対処法かもしれない。




