第31話 新しく見つけたもの
夕食までまだしばらく時間があったので、俺はゼウス号の格納モジュールを少し探索することにした。
ネプチューンやタロス、あるいはオデュッセイア号といった様々な用途の機械や工具が眠っているあのモジュール。まだ未発見のマシンがあるかもしれない。そんな気持ちで、何気なく向かった。
そうそう。前回までの探索ではまだ手をつけられなかった区画があり、そこも気になる。
デミの無重力で格納モジュールまでひとっ飛び、それから裂け目から中に入ると、ひんやりとした空気が迎えてくれた。大型のマシンはほとんどを村まで運んだので、見通しはよくなっている。
「ここです、リヒトさん、ここの隔壁が歪んでいますです。恐らく、墜落時の衝撃でこうなったのでしょう。このさきには、小さな区画があります」
ヨルの言うように、そこにはたしかに歪んだ隔壁があった。
「でも、ここ開かなくないか?」
「デミちゃんの重力操作スプレッダーモードを上手く利用すれば、開くはずです。多分」
俺はデミのスプレッダーを利用して、隙間を少しずつこじ開けていく。
ギギギ、という金属の軋む音がして、隔壁がようやく動いた。
「開いたぞ」
中は薄暗く、かすかに機械油の匂いが漂っている。ライトで照らすと、そこには整然と並んだ格納ラックがいくつも並んでいた。
「なんだ、これは」
ライトを向けると、それは人型のシルエットだった。背は俺よりやや高く、百八十センチほどか。全身が合金の骨組みと、ところどころに張られた装甲プレートでできている。 頭部は細長く、二つの光学センサーが目のようだった。
「これは・・・・・・汎用人型作業ロボットです。型式は77-B1タイプですかね。ゼウス号の船内作業用、および移住後の作業用に配備されていたものです」
「動くのか?」
「バッテリーは完全放電しているようです。ですが、充電ステーションで再充電すれば、起動する可能性があります」
俺はロボットに近づき、その腕を持ち上げてみた。関節部は思ったより滑らかに動く。指は五本あり、工具を把持するためのラバーグリップがついている。
「これ、タロスよりずっとシンプルなつくりだな」
「はい。タロスが重作業用のパワードスーツなら、こちらは軽作業用の全自動汎用ロボットです。構造が単純なぶん、デミちゃんで複製するのも容易です」
「複製・・・・・・そうだな」
そのとき、午前中の陽奈の言葉が頭の中でよぎった。
そろそろ肉が食べたい。
俺はロボットの骨組みを見つめながら、ゆっくりとヨルに尋ねる。
「ヨル、これ、狩猟用に改造できないか? 装甲を強化して、捕獲用のネットガンか何かを装備させれば、獲物を捕まえられるかもしれない」
「面白い提案です。もともと汎用型なので、アームの交換・改造は容易です。デミちゃんで専用の捕獲装備を作り、制御系に狩猟プログラムを追加すれば、完全に無人での狩猟も可能になるでしょう」
「無人でか。それなら、俺たちが危険にさらされることもない」
「さらに、構造を解析すれば、同型機を量産することも視野に入ります。将来的には、狩猟だけでなく警備や運搬にも使える汎用ロボット部隊が作れます」
「それはいいな」
俺はもう一度ロボットを見上げた。合金の骨組みが、デミのライトを鈍く反射している。
「よし、村に持って帰ろう。」




