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第14話 小型潜水艇ネプチューンの修復


 三人で作った朝食。陽奈と葉月が浅瀬で手づかみしてきたという拳大こぶしだいの巻き貝――レインボー・シェルというらしい――をあぶったものとステムフィッシュの切り身を鉄板焼きしたものを中心にしたメニューだ。もうちょっと、料理らしい工夫を凝らしたいな。そう思いつつ、食事をする俺たち三人。

 

「今日の予定だけど」


 俺は果実をかじりながら、ふたりに話しかける。


「ゼウス号格納モジュールから持ってきた、小型潜水艇のネプチューンを、きちんと使えるようにしたい」

「へえ・・・・・・それじゃ、ついに海に潜れるんだね」

「ネプチューンの潜行限界は深度百メートルまでです。厳密には二百メートルまで耐えられる設計らしいですが、用心するに越したことはありません」

「了解。てかその深さって、もう深海だろ」


 そこまで深く潜る気は、今のところないな。


「わたしたち、何か手伝えることある?」

「ああ、それじゃ工具の整理をお願いしていいか?」


 格納モジュールから持ってきた大量の工具だが、中々きちんと整理ができていないのが現状だ。まあ、デミが何でもやってくれるのだが、万が一のことを考えて、自分でもある程度出来るようになりたい。


「それじゃ、午前中は工具整理ね。あ、でも畑の水やりもあるし・・・・・・」

「まずはそっちからしよっか」

「だね。それから、果実の在庫も少なくなっているから、時間が空いたらまた採取に行こ」

「ヨルちゃん、自動釣り機の方、なにかかかっている?」

「今日はいつもより少ないみたいですね・・・・・・もうちょっと待ってから回収しましょう」


 陽奈と葉月が指を折りながらスケジュールを組み立てる。


「とにかく、やることは山積みだ。でも、ひとつずつ片づけていこう」

「了解」

「もちろん!」


 俺たちは三人で、ハイタッチし合う。


 創星村は、まだ人口三名とAI一名。まだまだ小さいが、ここからだ。


 

 万能工作機械・デミの能力には、いつもながら驚かされる。ゼウス号から持ってきた小型潜水艇・ネプチューンは、お昼前には、すでに完全な状態で修復された。


「元々、損傷箇所が極めて軽微だったというのもありますね。修復作業は最低限で済みました」


 ヨルの言うとおりなのだろう。ゼウス号格納モジュールは、かなり頑丈に作られていたようで、入手したバッテリーもほとんどが無傷だった。

 

 作業が終わったところで、折良く陽奈と葉月がやってきた。


「リヒトくん! お昼にしよ」

「そうだな。二人とも、喜べ。ついに潜水艇ネプチューンが完成した」

「ええっ・・・・・・!? それじゃ、もしかして今から潜れたりするの?」

「ああ。お昼ご飯が終わったら、早速試運転しよう。二人とも、一緒にどうだ?」

「「絶対行く!!」」


 前のめりになる陽奈と葉月。よし、決まりだ。昼から、浅瀬をドライブだ。


 

 釣りマシンを並べた浅瀬に、小型潜水艇ネプチューンが、静かに浮いている。


「それじゃ、二人とも心の準備はいいか?」


 輝いた顔で熱心に首をたてに振る陽奈と葉月。


「それじゃ、まず俺から先に失礼するぞ」

 

 俺はコクピットのハッチを開けて、中へと入る。


 座席は前後に二列。前席が操縦席と副操縦席、後部が補助席。俺は左の操縦席に座り、陽奈と葉月が後ろの二席に陣取る。

 


「シートベルトを締めてください。発進時に揺れるかもしれません」


 ヨルの声が、今度はネプチューンの艦内スピーカーから流れる。


 実はというか、当然というか、俺はこの潜水艇の操縦方法を知らない。


 しかし、それで大丈夫なのだ。ヨルが潜水艇のシステムにもアクセスして、代わりに操縦してくれるらしい。


「ヨル、無事にこのネプチューンは、動かせそうか?」

「はいです。なんら問題はありません。とはいえ、デミちゃんによる修復で、システムが本来想定されていたのとは少し変わってしまい、アクセスには少しばかり手こずりましたが」

「なんか悪いな」

「いえ。こういうの、けっこう楽しいです」


 AIがごく普通に「楽しい」と言う。その感覚は、人間である俺にはいまいちわからないが、ヨルの声がはずんでいるのは確かだった。


「それでは、皆さん。これより発進します──三、二、一、それっ!」


 ネプチューンの駆動系が、低くうなりを上げる。


 潜水艇は、ゆっくりと浅瀬へ滑り出た。




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