-episode1-
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依頼は、昼前のギルドに飛び込んできた。
「村がやられた!」
叫んだ男は、街道沿いの小さな村から来たと言った。
息が切れている。言葉が揃わない。
畑が踏み荒らされたこと。
家畜が逃げたこと。
今朝の出来事で、ほんの短い時間だったこと。
受付が応援を呼ぼうとして、言葉を止めた。
ギルドの中を見回す。
人がいない。
遠方に出ている者。
まだ戻っていない者。
今すぐ出せる人手は、ほとんどなかった。
「……一人でも」
村の男は、頼むというより、
事実を確かめるように言った。
俺は立ち上がる。
「進路は」
男が一瞬だけ、こちらを見る。
期待でも感謝でもない。
ただ、縋るしかない目だった。
「北だ。村を抜けて、そのまま街道沿いに……」
それで十分だった。
武器を取って、外に出る。
背中から、受付の声が追いかけてくる。
「もう村には、いないかもしれませんよ」
分かっている。
半日も留まる魔物じゃない。
村に着いた時、すでに静かだった。
畑の一部が踏み荒らされ、
用水路の脇に倒れた荷車が、まだ揺れている。
被害は短時間だ。
壊し、通り過ぎただけ。
村人たちは外に出ていた。
老人も、子どもも、家畜も混じっている。
泣き声はない。
騒いでも意味がないと、知っている顔だ。
「この先だ」
案内されて進みながら、
俺は地面を見る。
踏み潰された畑。
引きずられた跡。
進行方向は、はっきりしていた。
――まだ、進んでいる。
遠くで、地面が沈む音がした。
俺は走る。
追いついた、というより、
進路上に出ただけだ。
魔物はすでに村を背にして、
街道と畑の境を、一直線に進んでいた。
止まらない。
振り返らない。
その先にあるのは、
避難している人間の塊だ。
俺が前に出ると、
背後で声が上がった。
「逃げろ!」
「危ない!」
誰に向けたものかは、分からない。
それでも、俺は立ち止まらなかった。
下がれば、
次に立たされるのは、あの中の誰かだ。
逃げる理由が、
俺にはなかった。
とりあえず、初めまして。
閲覧していただきありがとうございます。
初めて書くので、設定があまかったり構成が変だったりしますが、とりあえず完結を目指して書きます!!
もしかしたら、書き直したりもするかもですがよろしくお願いします




