魔道具開発部。1
ミスクという名前はルタでは「美しい」という意味だ。
なかなかに凄い名前をつけてくれたもんだ・・。
しかしそんな名前を付けた親とは現在、出ていってから会ってない・・。結局田舎へ戻るらしい。早く戻ってくれ・・。
ため息をつきつつ、寮の談話室のカウンターで、アイデアをメモ用紙に書いていると、窓の外にレイト君がりつのあとを付いて回っている姿が見えた。
うーん・・、恋って凄い。
あの人を全く寄せ付けない空気を出していたレイト君が、
りつを男子と勘違いしていたレイト君が、
好きなのに、全く自覚してなかったレイト君が、
あんなにも夢中になってしまうとは、誰が予想できたであろうか。いや、天才が予想できないんだから、誰もできないか。
りつは、ものすごい人間に好かれてしまったにも関わらず、相変わらずアル君と一緒に何かを作っては、「回線が!」「難しい〜〜」と、きゃあきゃあ言いながら実験している。
・・それを後ろで時は微笑ましく、時にはアル君との距離が近くないか?と、むすっとしながら見ているのだから笑える。っていうか、可愛い。
一度、レイト君に「結婚するの?」ってからかうように聞いたら、
真っ赤になって・・
「・・したいんですけど、20歳まではダメって・・」
って、ちょっと目元を赤くして言うじゃない!!??
え?言ったの??って盛り上がっちゃたわよ!!!りつにも聞いたわよ!
10代のうちはちょっと・・って言うから、爆笑したわ。
あー、そういえばデッカくて、大人っぽいけど10代だったわね。
でもさ、「天才」とかに括らないで、丸ごとの「レイト君」をそのまま受け入れているから、そんな風に一人の人間として見てるんだなっても思ったの!
いやー、本当にりつに出会えてよかった!
ついお節介で声をかけた私、素晴らしい!!
まぁ、そんな事つゆ知らず・・、レイト君はりつの事が気がかりらしい。
ジル君とか、結構気に入ってるっぽいしね〜。りつ本人は気付いてないけど。
恋は盲目とは言うけれど、あのパワーを魔道具に何か使えないかなぁ・・。まぁ、こんな事考えてるから、大嫌いな親がいちいちうるさく言ってくるんだけど。
「あー、嫌な事思い出した・・」
ブスくれつつ、お茶を飲んでいると・・
「ミスク〜〜!実験のデータ出たか〜〜?」
でかい声の方を振り向くと、モーリスさんがこちらへ書類を持ってやってきた。げ、寮にまで来た・・。
短髪の髪がちょっとぼさっとしてる。
ちゃんとすれば、それなりに見栄えする顔なのに・・、勿体無い。
モーリスさんは私を見ると、少年のようにニカッと笑う。
「悪いな!このデータ欲しくて・・」
「はいはい、仕事場にあるんで一緒に行きましょう」
そう言うと、ニコッと笑って一緒に仕事場まで歩く。
「あのさ、ミスク・・この間、りつと話してたんだけど・・、お前さん今度アパート借りるんだって?」
「え、あ、ああ・・、寮も便利なんですけど、ちょっと一人暮らししようかなって」
「・・大丈夫なのか?」
モーリスさんが、私をちょっと心配そうに見つめる。まあ、そうよね・・、つい最近まで過激な団体に付け回されていたし・・。
「大丈夫ですよ、魔道具もあるし」
あの魔力を込めた紙。
あれで全て燃やし尽くしてやる!
「魔道具ねぇ〜・・、うちに来れば?」
「・・・・へ?!」
私は目を丸くして、モーリスさんを見ると・・いつものようにニカっと笑う。
「お前と、ずっと実験していきたい!」
・・・なるほど、なかなかに良い誘い文句だ。ちょっと笑ってしまう。
「もう一声欲しいですね〜?」
「・・・ミスクと一緒にいたい」
あ、そういう甘い感じも出してきた?
・・・ふむ、なかなか良いかもしれない・・。
ちょっと照れているモーリスさんの、ちょっとボサッとしている髪を、手櫛で整えてみた。
「・・・及第点はあげますけど、今度は髪を整えて下さいね」
ニコッと笑うと、モーリスさんもニコッと微笑んだ。
りつに説明したら、すっごく驚くんだろうなぁって思ったら今から楽しみすぎる。モーリスさんにも協力して貰おう。そう思って、手を繋ぐと真っ赤になったモーリスさんがいて、顔がにやけてしまった。なかなか良い反応だ。




