凡人、緊迫。
騎士さん達の体を張った実験のおかげで、ブレスレットはなんとか完成した。
しばらく警備をしている騎士さん達が、私とアル君を恐ろしい生き物を見るような目で見ていたけれど・・。こ、怖くないよ〜〜?大丈夫だよ〜?
まぁ、後半はアル君が爽やかな笑顔で、
「あと15本あるんで、この際誰でもいいんで付けてください!!」
って言った時は、結構鬼だなぁ・・アル君って思ったけど。
モーリスさんにも確認してもらって、早速特許課に申請に行く。
と、特許課の人に前回申請を出しておいた「軽量化するバッグ」が、申請が通った事と、その証明書が手渡された!
「やった!!!申請通ったーー!!!」
「やりましたね!!二つ目ですよー!!!
特許課の前で思わずアル君と喜び合って、抱き合ってしまった・・。
だって、やっぱり嬉しいし。
証明書を持って、意気揚々とアル君と仕事場へ駆け込む。
と、ジルさんが仕事場にいた。
「あ、ジルさん!こんにちは。先日はありがとうございました!」
「お〜、りつにアル君、こんにちは〜」
ニコニコと微笑む姿はいつも通りなんだけど・・、
なんか仕事場のみんなは、緊張感を持った顔をしてる・・。
「何か・・ありました?」
ジルさんに、ちょっと恐々たずねると、
「りつを攫った奴らから、犯行声明が騎士団に来た」
サラッと言われて、一瞬なんの事か理解できなかった。
・・・犯行声明・・・?
レイト君が私達のそばへ来たので、思わず見上げるとちょっと眉を下げて笑った。
「・・なんでも展示会の阻止をするそうだ・・」
「「展示会の阻止!!!???」」
私とアル君の声が重なる。
だって、そのために頑張ってたのに!なんだって、そんな事を言い出すんだ!!!
ジルさんはそんな私達を見て、小さくため息をつきつつ・・、
「ね〜、困っちゃうよね。もしかしたら、犯行声明を出しておいて・・違う事を目論んでいるのかもしれないけど・・。展示会は、国の威信を賭けたものでもあるから中止はしないけど、警備は厳重にする。だけど、研究所の皆さんは悪いけど、展示会までは気を付けて行動して欲しいんだ」
ジルさんは、少し苦虫を潰したような顔になる。
・・いつもは見ない表情に、本当に苦労しているんだろうな・・って思って、ちょっと胸が痛い。
「・・分かりました」
「できればどうしてもの外出は、騎士に声をかけて一緒に行ってね」
「・・・そこまで・・」
思わず口が開いた。
自由に行動もままならないなんて・・。
それは確かに、仕事場のみんなの顔も曇るわけだ・・。
「・・・分かりました。気をつけます・・。ジルさん達も気を付けて下さいね」
一番矢面に立つ騎士さん達が心配でそういうと、ジルさんはパッと顔を輝かせ・・
「りつ、優しいね〜!!可愛いね〜!!ありがとう!!」
そう言って、ジルさんは私の頭をわしわしと撫でると、
アル君が私を後ろへ引っ張り、レイト君がジルさんの手を払いのけた。
見事なコンビネーションだな。
思わず感心すると、ジルさんは面白そうに笑った。
そんな訳で、急に研究所の警備体制の強化が更にされて・・、仕事場の入り口にまで騎士さん達が待機することになった。うーん・・、大変だな。
鶴をいくつも折ったはいいけれど・・、
念じて飛ばせば場所を知らせられるように回線を作る事に、めちゃくちゃ苦労する私とアル君。
「・・・ちょっとレイト君探して、相談するね・・」
「すみません・・、ありがとうございます」
回線の本を読みつつ、げっそりしたアル君にそう言って、どこかへ行ったレイト君を探しに行く。
「・・用具庫かな?」
そう思って、用具庫を覗くとレイト君がいて・・、目が合うと手招きされたので側へ行くと、問答無用とばかりにぎゅっと抱きしめられた。
おーい、仕事中ですよ?




