天才、不意打ちにあう。
用具庫で、レイト君に抱きしめられて・・
えーと、腕から抜け出したいなぁ・・と思って、顔を見上げると、ちょっと疲れた顔をしている。
「・・・・何かあった?」
「・・・警備の強化の手伝いしてた」
「え?いつの間に??って手伝いって・・何を?」
びっくりして思わずレイト君をまじまじと見つめた。
「・・魔法課と一緒に、研究所全体に攻撃食らっても大丈夫なように魔法をかけてきた」
「ええ?!魔力一杯あるって言ってたけど、そんな事もできちゃうの??」
「・・天才だから」
自分で言ったよ、この人・・。
どんだけすごいんだろ。
私が攫われた事で心配なのかもな・・。
だから魔法使いの道でなく、魔道具の開発の道に進んだというのに・・、なんだかそれを思うと、胸が苦しくなって・・。
レイト君の頭をそっと撫でた。
「・・・ありがとう」
「なんでお礼・・」
「いや、なんか・・言いたくて・・」
私のために・・なんて思い上がった理由かもしれないし。
そもそも恥ずかしいから言えないし・・。
全力で笑顔で誤魔化すと、レイト君はちょっとグッと口をひき結んでから、私の肩口に頭をすり寄せる。
「・・・一緒にいたいのに、時間は取れねぇし・・、話すにも誰かいるし・・」
ちょっと拗ねたように話すので、思わず笑ってしまった。
天才、そこですか・・。
「・・電話みたいのがあったらいいのにね」
「・・・・電話?」
レイト君が不思議そうに私を見る。
「転送機が、話せる・・みたいな?相手が持っている機械の番号を押すと、話ができるんだけど・・、あ、折り紙で作ってみよっか?」
レイト君は、無言で頷いてそっと腕を離してくれた。
こればっかりは言ってもイメージ湧かないだろうし・・、そう思って携帯みたいにささっと折り紙を二つ折って、「会話ができるように・・」と、魔力を込める。
一つをレイト君に渡して、もう一つは私が持つ。
用具庫の中でちょっと距離をとって、私は電話を持って
「もしもし?」
そう声をかけると、同じように電話を持っているレイト君の方から私の声が聞こえる。
レイト君は驚いて、持っている電話をみる。
「・・これ・・・、凄い・・」
「ふふ、便利だけどね・・。これを沢山の人が持つとなると、また大変だと思うんだよね。この世界、電波がないし・・山間部とか通じるのかな?とか、距離の実験も簡単にできないし・・」
レイト君は、そんな私の話を聞いていない。
手の中の紙の電話を目を輝かせながら見ている。
「・・・これ、作りたい!!」
なんかもう・・大興奮ですね。
「・・うん、レイト君なら作れそう。私は無理です。あ!無理で思い出した・・、あの回線を手伝って欲しくてですね・・」
レイト君は、ニコニコして私のそばへくると、またもぎゅっと抱きしめた。
ちょいちょい!!言ってた事、聞いてた??
嬉しそうに私の顔を見つめて、
「・・・夜、これで話したい」
「あ、そ、そうだね・・、どれくらい会話できるか分からないけど、やってみよっか?」
ちょっと赤くなりつつ、そう話すとレイト君がニコニコして頷く。
そんなに嬉しかったのか・・。可愛いな。
なんか・・、素直なレイト君が可愛くて、ついね?出来心でね??
ちょっと背伸びして、キスしてみた。
すぐに離れて、驚いて目を見開いているレイト君を見ると、みるみる内に顔が赤くなった。
あ、やっぱり可愛いな。
腕の力が緩んだので、さっと体を離してすぐ逃げた。
レイト君は、ハッとして・・逃げる私の背中に、
「な、なんで逃げるんだよ!!」
そうおっしゃいますけどね、当然恥ずかしいからです。つい・・やってしまいましたけど、恥ずかしいからです。
大事な事なんで、心の中で2回言っておいた。
そうして多分、今まで一番早く走って仕事場へ逃げたのだった。
甘いですね。




