凡人、閃く。
翌日、騎士団にモーリスさんが相談してくれたが、返事は「無理」だった。
なんでもプライバシーにも関わるし、スパイが騎士団に紛れ込んでいる可能性があるらしい。
なんてこった・・、そんな可能性もあるのか・・。
そうなると警備どころか、相手に筒抜けだもんね。
そりゃダメか・・。
私とアル君は、がっくりうなだれた・・。
レイト君は、個別でそのシステムを作ってみるっていうけど・・、うん、我々にはできないのでお願いする事にした。
お昼は天気がいいので、中庭で4人で食べた。
あー・・・・、お日様の光が心地いい・・。
アル君と私はちょっと燃え尽きていて、二人で遠い目でモシャモシャと食べた。
ミスクさんは、そんな私達を笑いつつ見て、
「まぁまぁ、アイデアは良かったと思うわよ?」
「そう言って頂けると嬉しいです」
レイト君を見ると、ちょっと笑って・・
「システムについては良いと思うから、俺個人で作ってみる」
「・・れ、レイト様・・!!!」
アル君と、拝むようにレイト君に手を合わせた。
本当〜〜〜にお願いします!!
その辺のところ・・、できる気がぜんっぜんしないんです・・。呆れた顔のレイト君をミスクさんが笑って肩をバンバン叩く。
ため息をつきつつ、お昼ご飯に使う予定だった紙ナプキンで蝶を折る。
「飛べ」
そう念じて、指から飛ぶ蝶は紙ナプキンだからフワリ・・と綺麗に飛ぶ。
ミスクさんは「綺麗ね〜!」って、顔を輝かせて蝶を見る。
また指へ戻ってきた蝶を見て・・、
「・・・紙がしっかりしてれば、飛んで知らせに行けるかな・・」
ポツリと呟いて、蝶を見る。
・・・待てよ・・、紙なら捕まっても犯人も警戒しないよね?
ペンがなくても、ここにいるって伝えられるように作って・・、鶴なら広げない限り、飛ぶって分からない・・よね?
バッと立ち上がると、アル君は不思議そうに私を見る。
「来た!!!アイデア来た!!!作ってくる!!」
そういって、私は仕事場へ駆け出した。
鶴なら、ここにいる世界の人は見た事ないし、蝶だってブローチにしておけば怪しまれないはずだ。
急いで仕事場へ戻ると、パルクさんがモーリスさんとお昼を食べていた。
「あれ・・?お昼もう終わったの?」
「はい!!ちょっと降臨してきたんです!!!」
そういって、急いで色々な素材の紙を出して、色別に鶴を何枚か折る。
それを持ってまた中庭へ駆け出していく。
中庭に行くと、レイト君が立っていた。
「あれ、ミスクさんとアル君は?」
「食べたもん片付けに行ってくれた。俺は、りつが戻ってくるかもしれないから、ここで待ってろって・・」
「ああ、そうだ!!片付けてなかった!!」
慌てて食堂へ行こうとする私の首を、さっとレイト君が引き寄せた。
「ちょ!!く、苦しい!!」
「・・・落ち着け・・、とりあえず何か作ってきたんだろ?」
「あ、はい・・」
レイト君は、私の手の中を指差す。
・・・す、すみません・・年上なのに、周囲が見えなくて・・。ちょっと赤くなると、レイト君が可笑しそうに頭を撫でる。
「鳥を飛ばして、相手に知らせるのは良いかもな」
「あ、分かった?」
「さっき言ってたろ・・」
あれ?そうだった・・?
レイト君は小さく笑って、私の頬を撫でるので・・なんというか照れ臭い。
「どれくらい飛ぶか試しに来たんだろ?」
「・・・・天才、すごい」
思わず呟くと、レイト君はニヤッと笑った。
「展示会で、色々作って出せば騎士団だって、周囲だって意識が変わるかもしれねぇし・・、やるだけやろーぜ」
「うん!!」
嬉しくなって、笑顔で返事すると頬にキスされた!
な、なんで?!!今??
真っ赤になりつつ、不思議に思ってレイト君を見ると・・照れ臭そうに私を見て、
「・・・可愛い顔すんな」
って言われたけど、これ・・どうにもできませんけど???
かくして、真っ赤な顔をしつつ鶴をひたすら飛ばしてみる私であった・・・。ううう、なんでこうなる・・???




