凡人、目覚める。
レイト君に加減はされたものの・・、引っ張られたほっぺが痛い。
「うう・・痛い・・」
頬をさすってレイト君を睨みつけると、レイト君はまたぎゅっと抱きしめてきた。
「・・・本当に、なんで俺を逃がすんだよ」
「え、でも、なんか足が動かなくなっちゃったし、その方がいいかな?って・・」
私の肩口に頭を乗せて、は〜〜っと息を吐いてる。
「・・咄嗟の判断、的確すぎだろ・・」
「え、褒められてる?」
「褒めてるけど、許しはしてねぇ」
「す、すみません・・」
レイト君は、私の体から離れると・・
「怪我は・・?」
「してないよ、大丈夫!」
私の手首を見ると、縄で縛られていたのでちょっと赤くなっている。それを見ると、また泣きそうな顔になってる・・。無事だったし、そんな気にしなくていいのに。
「・・・小せぇくせに・・、そうやって判断できるの・・大人だよな」
「そうかな?まぁ、体が咄嗟に動いただけだよ」
いや、それは本当・・。
普段は、自分でものんびりしてる方だと思うけど・・、あんなに動けるとは自分でも思ってなかった・・。レイト君を見ると、私の手首を見つめて・・辛そうな顔になってる。
私もレイト君の頭を撫でる。
「レイト君達が助けに来てくれて助かったよ、ありがとう」
「・・・おぅ」
うん、多分私でなくレイト君が攫われていたら・・、そっちの方が危なかったと思う。ふふっと笑ってレイト君を見つめると、私の引っ張った頬をそっと撫でる。
「・・・・本当に・・心配した・・」
そういって、私の方へ顔を近付ける。
・・あれ、これは・・もしや・・?思わず目を瞑ってしまう・・
「はー、終わった〜〜。レイト〜〜、りつ大丈夫?」
ジルさんの声がして、思わず飛び上がった。
レイト君は、はぁー・・って深いため息を吐いて声のする方を振り向くと、ニヤニヤ笑っているジルさんが立っていた。
「ちゃんと声かけてあげた僕、偉いでしょ?」
「・・・うるせぇ、そっちは片付いたのか?」
レイト君が私をぎゅっと抱き寄せて、そのまま話をするので驚いて体が固まってしまう・・。あ、あの・・??
「うーん、主犯格は別の所に逃げたみたいだけど、下っ端は捕まえたから・・そっから聞くよ」
ジルさんは、柔らかく笑って私とレイト君を見る。
あの・・レイト君、恥ずかしいので離して欲しいなぁ・・ちょっと動いてみたけど、びくともしない。ジルさんは、面白そうに私を見て、
「りつ、一人でよく頑張ったね・・。とりあえず今日は研究所に戻って休みな。警備はしてあるから、安心してね」
「あ、ありがとうございます・・」
柔らかく笑って、馬車の騎士さんに声をかけてくれたのか・・馬車が動き出した。ジルさんが、幌の外で手を振る姿が見えたので、手を振った。
ガタガタと石畳を走る馬車に揺られていると、ちょっと眠たくなってきてウトウトしていると、ふと唇に何か柔らかいものが当たった感触がしたけれど・・、瞼が重くて持ち上がらない・・。
「・・・レイト君・・?」
「・・とりあえず、着いたら起こすから寝ておけ」
「・・うん・・・」
腕の中が温かいし、ほどよい揺れも気持ちいいし・・
目を閉じると、すっかり眠ってしまったらしい。
しばらくして、目をそっと開けると・・
真っ白な部屋に真っ白なシーツの敷かれているベッドに眠っていた。ちょっと横を見ると、窓から光がさんさんと差し込んでる。あれ?さっきの部屋じゃない・・よね。
「・・・あ、あれ・・・?」
目を何度か瞬きして、起き上がると・・
ミスクさんとアル君が私の足元の椅子に座っていて、私を見つめた。
「お、おはようございます・・・?今、何時・・?」
「りつーーーーー!!!!」
「りつさん!!!」
ミスクさんとアル君に、同時に抱きつかれて目を白黒させた。
お、おう・・、おはようございます???




