凡人、救出される。
男の人が動かないのを確認して、ナイフを腰の所にしまっていたのを覚えていたので見てみる。
「あった・・」
腰の後ろにナイフが鞘の中に仕舞われていた。
さっと抜き取ると、急いで縄を切る。
ナイフは・・一応持ってこう。
できればナイフは、調理する時のみに使いたいけど・・。扉から顔を出して、周囲を見ると誰もいない・・。
早く行かないと、この人起きちゃうだろうし・・、下へ降りる階段が見えて、そっと降りて行くと声が聞こえる・・。よく耳を済ますと・・、
「ここは、誰も住んでなかったはずだ・・」
「そんなことはないですよ・・」
誰かが言い合いをしている・・?
でも、誰かが来ている・・??
と、階段下から、裏口だろうか・・扉を開けたおじさんが私を見つけて目を丸くする。あ、まずい!!もしかして黒ずくめの仲間?!
咄嗟に、階段が10段くらいあったけど横から飛び降りて、声のする方へ走って行く。
「待て!!!この・・」
待ちませんーー!!!!
声のする扉をバタンと大きく開けると、玄関だろうか・・二人の人が見つめ合って話している姿が見えた。
「「りつ!!!」」
聞き覚えのある声がするんだけど、さっきまで薄暗い部屋にいたから、目が眩しくてよく見えない。でも、とにかく私を知っている人だ!
大きな声で、
「助けて!!!」
って叫ぶと、後ろの扉から男の人が私を捕まえようとする。
あ、やばい!
とにかく持っていたナイフをめちゃくちゃに振り回すと、男の人は一歩引いた。と、入り口で「うぁ!!」と叫び声が聞こえて、私はチラッと見ると、レイト君が駆け込んできた。
「え?!!レイト君、危な・・」
そう言おうとした瞬間、目の前の男の人が私の腕を掴んだ。
「あ!!!」
足をぐっと踏ん張った瞬間、パシュッと音が聞こえた。
音・・?!私の腕を掴んでいた人は、一瞬目を見開いて・・、そのまま前のめりで倒れてしまった。
反動で、私まで尻餅をついてしまった・・。
い、痛い・・。
「りつ!!」
レイト君が慌てて駆け寄ると、私を起こしてくれた。
後ろから騎士さん達が、ドッと部屋へ入って来た。ジルさんも、やって来て「上も確認しろ!」と叫んでいる。
ポカーンとレイト君を見ると、泣きそうな顔をしてぎゅっと抱きしめられた。
「・・・無茶しすぎだ・・」
「あ、はは・・、本当だね・・」
今になって、足がガクガクしてきた・・・。
レイト君にそっと腕を回して、ぎゅっと引っ付くとようやく安心した・・。まだ足はガクガクするけど・・。
「・・とにかく、ここから出るぞ」
「う、うん・・」
部屋から出ると、周囲は薄暗い家が立ち並ぶ通りだ・・。
あ、ここ・・以前に治安が良くないから気をつけろって言われた場所・・?思わず周囲を見渡していると、レイト君は私が持っていたナイフを受け取って、家の前で警備をしている騎士さんに渡した。
レイト君は、騎士団の馬車だろうか・・
後ろの幌の中へ私を座らせると、レイト君も横に座った。
「・・・お前、ブレスレットに狼煙の効果、つけてたのか?」
「の、狼煙?!!!」
思わず聞き返してしまった。
そんな効果はつけた覚えがない。
リボンに色々と魔法をかけたけど・・、編み込む事で、そんな風に変化したんだろうか・・。
「・・全然、そんなの付けた覚えがなかったけど・・」
「じゃあ・・、偶然なのか・・。とにかくブレスレットを使ったんだな?」
「う、うん・・」
「そのおかげで、狼煙が上がったんだ・・。アタリはつけてたみたいだけど、すぐに助けに来られたのは、そのお陰だ」
レイト君は、そう言って私の頬を指の腹で優しく撫でたと思ったら、いきなり引っ張った。
「偶然、助かったから良かったものの!!お前というやつは!!!!!」
「いひゃーい!!!」
目が吊り上がったレイト君に、怒鳴られた。黒ずくめの人よりもレイト君のが怖い!!!あと痛いーー!!!




