46話 指輪欲しがっても本当にいいんだね…【杏視点】
昨日の湊が約束を破った事を理由に、湊と音ちゃんと3人で街に遊びにきた。
なんでもお詫びにお昼は湊がご馳走してくれるらしい。
折角なので甘えさせてもらおう。約束破ると財布がどんどん寂しくなっていくって分かれば、湊も今後は行動に気をつけるだろうし…。
特に欲しいものはなかったけど、3人でウィンドウショッピングするだけできっと楽しいだろう。
どんな1日になるかな…この2人となら何をしてもきっと楽しい1日になる事間違いなしだよね。
混む前に先に昼食をすませるという運びとなった。
朝は食べてきてなかったので、お腹は空いているので私としても好都合だった。
湊が連れて行ってくれたのは、パスタのお店。
情報誌に何度か掲載されたお店で名前だけは私も知っていた。
ちゃんと調べてきてくれたんだな…。
そんな事が私にはとても嬉しかったりする。本当に私ってチョロいのかもしれない…。
食事が終わり、どこに行くか音ちゃんと悩んでいると、彼が別行動したいと言いだした。
なんで3人で遊びにきているのに別行動したいとか言うのだろう。
空気読めないよね相変わらず…。さっきの嬉しかった気持ちが一気に消えてしまった。
そんな彼に意地悪したくなったので、私は音ちゃんに確認も取らずつい言ってしまう。
「私達も特にここに行きたいって所がないから付き合ってあげるわ。どこに行きたいの?」
彼は少しの間考え込んでいた。
その様子から察するに、私達について来られると困るのだろうか…?
「それなら2人ともとりあえず付いてきてくれる?」
意外にも許可が出たので、それならばと付いて行く事にする。
着いた先はジュエリーショップ。彼は何てことはないかの様にお店に入って行く。
どうしたものかと音ちゃんと顔を見合わせる。
「杏…とりあえず入りましょうか」
音ちゃんから入店を促されたので、とりあえずそれに従う事にする。
「広…杏ってもう少しで誕生日だよね。色々お世話になってるからプレゼント贈りたくて…」
先に店内に入っていた湊が私にそんな事を言ってくる。
だからと言ってこんな高額なものを買ってもらうわけにはいかない。
付き合っているならまだしも、私達付き合っているフリの関係でしかない。
いつもはあまり考えない様にしていた事を思い返してしまい落ち込んでしまいそうになる。
とりあえず、やんわりと断る事にしよう。
「え?でもここって…。いや、いいよそんな…」
「あんまり高いのは無理だけど…これぐらいならなんとかなるから」
そう言って、ガラスケースに入っているアクセサリーを指差す彼。
ちょっと!?この人いったい何を考えてるのだろう。
学生がプレゼントとして贈る金額とかけ離れてるよ。
「ちょっと!?そんなに高いのなんて要らないわよ」
語気が強くなってしまったけど、仕方ないよね。
全く…何を考えてるいるのだろう。
その時、隣に居た音ちゃんが私にそっと耳打ちをする。
「杏、湊って少しずれているけど許してあげて。多分彼なりに色々考えてるのだと思うわ」
「でも…こういうのを貰うってなんだか…。別に私達…付き合ってる訳じゃないのに」
「そこは甘えていいと思うわよ。湊ってそういうのあんまり考えてないだろうから」
「それはそれで、なんか落ち込むんだけど」
音ちゃんからも諭されてしまった。
せっかくの彼の気持ちを無碍にしてもいけないよね。そう自分に言い聞かせて私はこの話を受ける事にした。
本当になんでもいいのかな?だったら私は指輪が欲しいな。
心配なので再度確認を取る事にした。
「あのさ…確認なんだけど、予算内なら本当に何でもいいんだよね?」
「うん、それはもちろん」
やっぱりいいみたいだった。でも心配なのでもう一度だけ聞く事にする。
「そっか…本当に甘えさせてもらうから…本当の本当にいいのよね!?」
彼が軽く笑いながら、もう一度了承してくれたのを見て、私は真剣にガラスケースと睨めっこを始めた。
彼がさっき言っていた予算は私のお小遣いからしたら考えられないものだった。
このお店は価格帯が幅広く安い値段の可愛いものもいっぱいあった。
どうやら土台の部分の素材の違いが値段の違いみたいだった。
ピンクゴールドって可愛いな…。誕生石をあしらった指輪にしようかな…。
ハートシェイプのピンクトルマリン、小さなダイヤモンドを左右についている指輪が目にとまる。
あ、これ可愛いな…。値段は…うわっ!?
さ、3万円超えてる…。さっき彼が言っていた予算内ではあるけどこれはさすがに買ってもらうわけにはいかない。
先に値段を見てからデザインを見る事にしよう…闇雲に見るのは危険よね。
見なかった事にして、他のものを探そう。
あれから30分ぐらいが経過した。
音ちゃんと色々話しながら探しているのだけど、なかなか決まらない。
さっき見た指輪と比較してしまうのがいけないんだろうな…。
このまま2人を待たせるわけにはいかないから、早く決めないとな…。
どれかを諦めようかな。誕生石は譲らないとして、ハートシェイプは諦めよう。
ピンクゴールドも妥協できるかな…。イエローゴールドに可愛いと思えるデザインの指輪が見つかった。
真ん中に丸い形のピンクトルマリン、そのサイドには小さなダイヤモンド。
トルマリンの形が違うだけで、似た様な配列。
トルマリンも小さいので、さっきより値段も落とすことが出来た。
それでもまだプレゼントとして貰うには高い気もするけど…。
湊に欲しい指輪が決まった事を報告する。
すると、彼から『値段もうバレてるけどお会計するから先に外に出ていて』言われた。
確かにお会計の時に隣に居るのもだから…ここは彼の指示におとなしく従う事にした。
外で待っている間、音ちゃんから『良かったね』と声をかけられる。
自分だけ買って貰った事を謝ると音ちゃんから余計な気を回すなと怒られてしまった。
でも、音ちゃんだってきっと湊からプレゼントして欲しかっただろうな…って分かるから…。
だからつい謝ってしまったのは大目に見て欲しいと私は心の中で思った…。
この章は、波風立たない話が続いてばかりですいません。
いつも読んで下さってありがとうございます。




