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45話 約束を破ったお詫びついでに…【湊視点】

昨日、バイト先で素顔を晒してしまった罰として街に買い物に来ている。

音羽と広瀬さんが並んで僕の少し前を歩いている。

周りから僻まれたりしないから、別に文句はないのだが、1人で歩くというのはやはり寂しいものである。


財布だけ渡して2人だけで行ってもらった方が良かったのじゃないだろうか?

もしくはこの場に大澤君を呼んでも良かったのじゃないだろうか?

どちらも広瀬さんに全力で却下されたから仕方ないのだけど、思い返すとやはり納得がいかない。

そんな事を考えていると前方を歩く広瀬さんより声がかかる。


「お昼になったから買い物の前に先に食事にしよっか」


「ああ…そうだね。それでいいと思うよ」


「どこで食べるか考えてきてくれた!?」


当たり前の様にそんな事を仰る広瀬さん…。

そんな事もあろうかと、もちろん考えてきてますとも。

昨日の夜…音羽にリサーチしとけって言われたからって事は伏せておく。


「広瀬さんはパスタは好きだった?この辺りに評判のお店があるんだけど、どうかな?」


「湊…いつになったらちゃんと呼んでくれるわけ?いい加減慣れてもらわないとこっちも困るよ」


「あっ…ごめん」


隣の音羽も苦笑している…。


「音ちゃんはパスタでもいい?」


広瀬さんが、音羽に確認する。音羽も賛同したのでパスタのお店に向かった。

空席があったので、待たずに済んだ。待つ可能性を考慮していたので、これは嬉しい誤算だった。

ご機嫌を損ねる事なく済んで良かった。


注文を済ませ待っている間に、昨日の件についてお小言が始まった。

口火を切ったのは音羽からだ。


「湊…あれだけ約束したのになんで1日ともたないのよ…」


「ほんとだよ、もう少し約束の守れる人だと思ってたから…凄いショック。湊って絶対に浮気するタイプだね」


広瀬さん!?それはちょっと言い過ぎです。すぐに否定をしようとして踏みとどまる。

ここでムキになって否定して理由を問われたらマズイ。

大澤君に黙っててもらう様にお願いした意味がなくなってしまう。

かと言って肯定するのも…どうかと思うし、さてどうするかな…。


「ちょっと入り用だったんだよ。売り上げが上がったらバイト代を多めにくれるって話だったから、苦渋の選択だったんだよ」


「入り用?湊…バイト代とは別にお父さん達からお小遣いは貰ってるんだから特に必要ないでしょ?何か欲しいものでもあるの?」


流してくれればいいのに、音羽がツッコミを入れてくる。


「まあね…」


あまり聞かれたくなくて、つい素っ気なく返してしまう。

いや、別にいかがわしい何かを買おうとしている訳ではないので、2人ともそんなに睨まないで下さい。





「美味しかったね。音ちゃんこの後どうする?どこか行きたい場所あったりする?」


「私は特にはないわ。杏はどこかないの?」


「今日は特にここに行きたいってないんだよね」


2人とも行き先に困っている様だ。これは少しだけ別行動を提案するチャンスかもしれない…。


「あのさ?僕ちょっと行きたいところがあるから、少しだけ別行動してもいいかな?」


「私達も特にここに行きたいって所がないから付き合ってあげるわ。どこに行きたいの?」


広瀬さんが…ありがたくない言葉を発する…。

今日は下見のつもりだったから1人で行きたかったのだけどな。

いずれにせよそのうちバレるので仕方ない。


「それなら2人ともとりあえず付いてきてくれる?」


僕は広瀬さんの質問に答えず歩きだす。

着いた先は、とあるジュエリーショップ。

大澤君曰く、男が女にプレゼントするならこれしかないって事らしい。

地元の友人にも確認したけど、同じ様な答えだったので、間違いないだろう。


「広…杏ってもう少しで誕生日だよね。色々お世話になってるからプレゼント贈りたくて…」


「え?でもここって…。いや、いいよそんな…」


「あんまり高いのは無理だけど…これぐらいならなんとかなるから」


そう言って、ガラスケースに入っているアクセサリーを指差す。


「ちょっと!?そんなに高いのなんて要らないわよ」



「そうなの?それなら金額は任せるよ。前々から計画していたから是非受け取って欲しいんだ」


「湊が私にアクセサリー…って事は…」


僕の予算はどうやら高かったらしい。夏休みしっかりバイトした成果があった様だ。


「あのさ…確認なんだけど、予算内なら本当に何でもいいんだよね?」


「うん、それはもちろん」


「そっか…本当に甘えさせてもらうから…本当の本当にいいのよね!?」


何だかやたらしつこく聞いてくる。別にアクセサリーぐらい友達なら贈るだろうに…。

喜んでくれた様で何より。周りに相談した甲斐があったな。

僕はその事がどんな意味に取られていたのかを深く考えず、ホッと胸をなでおろしたのだった。

いつも読んで下さってありがとうございます。

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