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40話 これから…【杏視点】

「あなた達…付き合ってる事にしなさい。私の代わりに杏、あなたが虫除けをしなさい。出来るわよね…?」


音ちゃんがとんでもない提案をしてくる。

私が鷹野君と付き合ってるフリをする?

鷹野君を見ると、同じように困惑している。

困った顔も絵になるな…。


「それは流石に広瀬さんに迷惑だろう…」


「へっ!?私は別に迷惑じゃないよ!むしろ嬉し…と、とにかく迷惑じゃない!!」


予想外の答えが返ってきたのだろう。彼が唖然とした顔をしている。

少し間抜けな顔も絵になるな…。


「湊、杏もこう言ってる訳だし遠慮する必要ないわよ。この条件を飲めないのなら転校になるけどいいのかしら?選択肢があるとか思わない方がいいわよ」


「ぐっ…」


悔しそうにしている顔も絵になるな…。


「私は迷惑じゃないから…だから頼ってくれると嬉しいかな…」


会心の笑みを浮かべられたと思う。


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」


心なしか彼の顔が赤い気もするけど…おそらく気のせいだろう。


「じゃ、そういう事で決まりでいいわね。ところで2人とも…これからお互いをなんて呼び合うの?」



「「へっ…!?」」


どうやら被ってしまったらしい。


「付き合ってるのに、鷹野君・広瀬さんでは不自然でしょ?もっと親しい雰囲気出さないとダメじゃない」


「「………………………」」


「そんなとこだけ息ピッタリにしないでいいから早くどうするか決めなさい」


「私は、鷹野君のままでもい「いいわけないでしょ?」」


最後まで言わせてもらえませんでした。


「湊…あなたならどうしたらいいか分かるわよね?呼んでみて」


「音羽の求めている答えは分かるが、それを言う勇気は俺にはな「湊…手間をかけさせないでちょうだい」」


惜しい!!あと一文字言えたら完走だったのに…。

彼は苦虫を噛み潰したような顔をしている。

渋々といった感じで口を開く彼…。


「杏…」


私の耳に、小さな声のはずなのによく響いた。

彼が今確かに私の名前を呼んだ…。

名前を呼ばれただけなのに、胸が高鳴ってしまう。


「もう一回…」


無意識に催促してしまった…彼はそんな私の呟きにもしっかり応えてくれる。

しかも今度は…はっきりと私に聞こえる感じで。


「杏、面倒なお芝居に付き合わせてすまないが、暫くの間、宜しく頼む」


「はい!!こちらこそ宜しくお願いします!!」


つい声を張り上げてしまった。嬉しいのだから、仕方ないよね。


「それで…杏はなんて呼ぶの?」


幸せな空気が、悪魔の囁きにより…一瞬でかき消されてしまった。

うん、分かってた…幸せが長く続かない事ぐらい…。


「えっと…鷹「杏…次はないわよ。それでなんて呼ぶの…?」」


ひぃっ……。私の返事を聞いた音ちゃんが予想通り怖いです。

私も諦めて名前を呼ぶしか選択肢がなかったみたいです。


「それじゃ私も呼び捨てで…」


「そう…。じゃ、それで呼んでみて」


恥ずかしさを押し殺して私は彼の名前を口にする。


「湊…」


彼は下を向いていて顔が見えないけど、もしかしたら照れてくれてるのかな?

そうであったら嬉しいな…。


「お互いの呼び名は決まったわね。それでは次ね」


どうやらまだ終わらないらしい。次はどんな難題が待ち構えているのだろうか…。


「湊…眼鏡とカツラは今後どうするの?周りにバレてしまった以上、偽装は無意味よね?」


「学校内は確かにそうかもしれないけど、学校外を考えると今まで通りでいいと思う。素顔のままというのはちょっと…」


彼の代わり私が提案した。彼が素顔のままなんて冗談じゃない。

そんな事にでもなれば、心配で私の心臓に穴が開いてしまう。

なんとしても、余計なライバルを増やす事態は避けなければ…。


「その方がいいかもしれないわね。湊はどう思う?」


音ちゃんが同意の意思を示し、彼に確認する。


「広瀬さ…杏の提案がいいと思う」


うわっ…また名前呼ばれちゃった。これだけの事で胸が高鳴るなんて、私ってチョロインかもしれない。

認めたくはないけど…。


「話しておきたい事はこれぐらいかしら…」


とりあえず終わったらしい。足が痺れてきたのでそろそろ正座を崩したいのだけど…。


「音羽、話が終わったんなら正座はもうやめてもいいよな?」


ナイス鷹野君!!じゃなくて湊!!


「そうね…杏はもういいわよ。湊はまだダメよ。約束を破ったペナルティー考えないといけないもの」


うわっ…現実は甘くないらしい。

湊…とりあえずご愁傷様です。

私は解放って事らしいので、彼を尻目に足を崩す。

じんじんするよ…暫くは立ち上がれそうにない。

隣で絶望している彼には悪いけど、今の私はやっと解放された幸せに浸りたいと思います。


「次の休み…デートしましょう…。私行きたいところがあるの…」


な、なんですと!?

音ちゃん、それずるいよ!!

幸せは長くは続かない、さっき勉強したことが再び…。


だけど今の私は浮かれている事も手伝ってか、すぐさま口を挟もうとして…………………


考えを改める。


君子危うきに近寄らず…って言葉があるぐらいだもんね。

今がきっとその時なんだろう…。

せ、戦略的撤退よ…これは。そう自分に言い聞かせる。


他のライバルの出現とか考えてる場合じゃなく、この妹様をどうやり込めるかを考えた方がいいと思う。

きっとこの私の予想は間違えていないだろうな…そんな事を思いながら2人のやりとりに耳を傾けていた。

いつも読んでくださってありがとうございます。


なかなか更新が出来なくてすいません。

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