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31話 新学期が始まりました【湊視点】

夏休みが終わり新学期が始まった。

あの日…保養所で広瀬さんに告白?されたが、僕達の関係に特に変化はない。

なぜかって!?その話になると…彼女決まって話題を変えるから…。


なので僕達は『なかった事にする』という暗黙のルールを決めた。

いや、きちんと話してないからルールも僕が勝手に思ってるだけなんだけど。


ただ、一つだけあの日以降で僕に起きた変化があった。

なぜだか知らないが、クラスメイトの一人から、バイトの誘いがきたのだ。

特に仲が良いとかいうわけでもない…正確には僕はクラスに友達なんていない。

断ろうとした僕を、音羽が止めた。


『いつまでも親の脛をかじるな』と言って…。


確かに一人暮らしして負担かけてるけど…それはお互い様だ。

お前も洋服買い過ぎだろ…ってツッコミを入れたかったが、それを言うと後が怖いのでやめておいた。

所謂いわゆる、戦略的撤退というやつだ…。今回は命拾いしたな、音羽…。


この2学期は、以前家で三人で居た時に話題に上がった文化祭がある。

新学期始まってすぐで夏休み気分が抜けていないにも関わらず、早速何をやるか決めるというのだ。


正直面倒なのは嫌なので、さっさと決めて欲しい。


「これがやりたいって希望はありますか!?」


学級委員が希望を募ってる。


執事喫茶…、メイド喫茶…コスプレ喫茶…。


もう少しマシな意見は出ないのだろうか?普通の喫茶店でいいだろうに…。


食べ物関係があまりに多く出過ぎて意見が纏まらない。

どれを選んでも揉めそうだし、他のクラスも同じ様な事をするだろうという事で…なぜか演劇に決まった。


文句を口にするクラスメイトの面々…。

あ…。学級委員の彼女…確か…演劇部だったはずだ。それ…ただの職権乱用だろ…。


台本はどうやら過去に演劇部で使ったやつを用いるとの事だ。

準備が良い事で…。おそらく前からこの展開を考えてたのだろう…なかなかずる賢いな学級委員。


話の内容は…



〜〜〜〜〜〜〜〜


実の母親を亡くし、叔母の家でお世話になる娘。従兄弟の姉妹から虐められ、叔母からはこき使われ、心をすり減らしていく彼女。

そんな彼女に優しく接してくれるのは街の片隅の革細工工房で働く青年。

小汚い格好で髪もボサボサ。眼鏡をかけ前髪で目が隠れていて、どこを見てるのか…何を考えてるか分からない。

そんな見た目とは裏腹に優しい青年は、満足に食べさせてもらえない娘に温かい食事を与え、励まし続ける。

そんな彼にいつしか想いを寄せる娘。


だが、そんな娘を気に入った商人の息子が、叔母にお金を渡し娘を嫁にもらい受けようとする。

それを知った娘だが、拒否する事など不可能で、泣きながら青年に想いを告げる。


「嫁に行く前に…どうしてもあなたに伝えかった…」


そう言い残して青年と別れを告げる娘。

商人と婚姻を挙げる日の前日、娘は街の広場に呼び出しを受ける。


広場の舞台には、…王様となぜか工房で働く青年がいた。

自分もその舞台に上げられるが、なぜそうなったか分からないで困惑していると…青年が娘に向かって言った。


「苦労ばかりさせてしまうが、君が泣くような事はしない。僕と結婚して欲しい…」


娘はとても嬉しかったのだが、自分は明日には商人と結婚する身。

どう答えて良いか分からず黙り込んでしまう。すると…


「君の悩んでいる理由わけについては僕と王様でなんとかする。だから僕を信じて欲しい…」


青年のその言葉を信じて、娘は返事をする。


「私もあなたを愛しています。生涯側において下さい…」


青年の申し出に了承した娘…。

その場にいた商人の息子は、王様に抗議する。

すると、青年は小汚い顔を洗い、乱れた髪を整え、かけていた眼鏡を外す…。

青年は…昔、何かの式典で見た事のある王子様だった。


その姿を見た商人は黙ってその場を去ってしまう。


「皆の者、ご覧いただけただろうか。この娘が将来の王妃となる者だ。息子と同じ様に皆で支えてやって欲しい」


王様が聴衆していた街の人々に宣言して物語は終わる…。


〜〜〜〜〜〜〜〜


複雑だ…。すごい複雑だ…。これ音羽には絶対に見て欲しくない内容だ。

配役も次々に決まっていく。

娘役は予想通り…広瀬さん。王子様役は大野君だそうだ。なんでもクラスの人気者らしく…。

広瀬さんが、なぜか嫌そうな顔をしていたのが少し気になったが…僕が気にしても仕方ないので考えるのをやめた。


僕の役が何かだって!?世の中には、『聞かないのが優しさ』って言葉がある。

そういう気遣い…大事にした方がいいとだけ助言しておこう…。

いつも読んでくださってありがとうございます。


湊の役は『木の役』です。お遊戯会か!!ってツッコミたくなる役どころだけに言うのが憚られたと言った具合です。


短編『私は元気にやってます…』

あげました。


雰囲気少し違いますが、この作品に関係するものです。

興味のある方は、読んでいただけたら幸いです。

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