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26話 三者面談で…急展開!?【杏視点】

「やっといなくなったわねー」


音ちゃんのお母さんが、鷹野君が出かけたのを見計らってそう呟いた。


「本当よね。多分、私達が杏に嫌がらせしないか見張ってたってとこかしら」


音ちゃんがそれに同意する。


「さて、邪魔者も居なくなったし…杏さん?それではゆっくりお話ししましょうか。私の事は美咲かお母さんって呼んでくれていいからね」


なぜ、お母さんなのだろうか…?

普通に、美咲さんと呼ぶことにしよう。


「それでは美咲さんと呼ばせていただきますね」


「あら?いけずね…杏さんは」


「ほらお母さん。馬鹿な事言ってないで本題本題」


音ちゃん…本題って何!?

さっきまでの会話からして…本題と言うからにはとんでもない質問が出そうで、とても不安。


「杏さんの事は音から聞いてます。答えにくいだろうけど聞きたい事があるから正直に答えてね?」


「は、はい…」


「話も聞いていたし、見てて分かったけど、杏さんはウチの息子の事が好きなの?」


いきなり核心にせまる質問がきた…。

音羽ちゃんも真面目な顔をしてる。

はぁ…。なんでこんなことになったのだろう。

仕方ない…諦めよう。


「はい、知らない間に好きになってました…」


「私が言うのもだけど、息子のどこがいいの?あなたなら息子よりもっと素敵な男の子とお付き合い出来るでしょ?」


「その…正直彼の外見や態度に思うところはあるのですが、それを補えるいいところもあるので…。さっき買い物に連れて行ってもらったのですが、少し買い過ぎてしまいました。音ちゃんが荷物を鷹野君に持ってもらえって促してくれたのですがお願い出来なかったんです」


「気にしないで頼めば良かったのに…」


美咲さんは簡単に言うが、流石にそういうわけにはいかない。


「そしたら彼言ったんです。気にするなと…。そう言われても私は拒否するつもりだったのですが、彼はこう続けたんです。『僕に触らせたくないなら無理にとは言わないけど』って。そんな事言われたら断るなんて出来ませんよね」


私はさっき起きた事を思い出し、つい苦笑してしまう。


「私が断るだろう事を予測して言ったのだと思います。彼のそういう気遣いが、すごく居心地がいいんです」


「なるほど、よく見てるのね。そして、音が陥落した理由わけが分かったわ」


「お母さん…陥落って…。もう少し違う言い方あるでしょ?まったく…」


「だって…湊君に彼女出来なかったの、あなたのせいもあるでしょ?」


えっ…!?そ、そうなの!?

いや、待て待て。音ちゃんの所為と言うより本人の所為という気がしなくもない。


「美咲さん、それは流石に言い過ぎでは?」


「あら?言い過ぎって事はないわよ?だって音が首を縦に振らないと湊君と付き合えないって…中学で噂になってたと聞いているわ」


真偽を確認する為、とりあえず音ちゃんを見る。

あ…、目を逸らされた。冗談と思っていたが、本当らしい。


「ねえ、音?1つ確認なんだけど…杏さんってどこまで知ってるの?」


「いや、話しておこうと思ってたんだけど、の湊に対してであんな感じだから…言えてなくて」


何の話だろう?2人の言ってる意味がよく分からない。


「なるほどね。杏さんは、湊君と話す時に意識し過ぎてしまうのね。気持ちは分からないでもないけど…それなら無理ね」


無理ってどういう事なんだろう?

そんな事を考えていたら、美咲さんが…


「杏さん。湊君と話すのにそんなに気にする様なら息子の事は諦めて」


「お、お母さん!?」


いきなり明確な拒絶の意思を告げられた。


「音は黙ってなさい。聞いてないかもしれないけどね?息子は人嫌いなの。これについては、本人から聞いた方がいいから私から詳しい事は言わないけど…」


人嫌い…?ワザと挙動不審な態度を取ることもそれが理由なら納得できる。


「将来を考えると、いつまでもこのままって訳にもいかないから…どうしたらいいか困ってたの。そんな時に現れたのが杏さん、あなただったのよ。最大の関門の音がすごく懐いてるんだもの。最初に聞いた時は本当に驚いたわ」


音ちゃんの所為って言葉、まだ信じられないけど、こうして改めて言うからにはおそらく本当なのかもしれない。


「湊の素敵なところをきちんと理解する人が居なかったんですもの。そんな人達に湊に近づいて欲しくないわ」


「はいはい…そういう事にしておくわ。それでね?湊君の彼女になる人にはその辺りの改善をしてほしいの。それがまともに話すら出来ないあなたにできるかしら?」


「で、できます」


私は美咲さんをまっすぐ見据え、答えた。

ここは即答すべきだと、私の直感が訴えてきた。


「そう…なら私もできる限りの協力はするわ。朴念仁だから大変とは思うけどね…。ところで一つ気になっていたのだけど…杏さんは、世間で言うのところB専と言われる方なの…?」


…………………っ!?


「いえ、そんな事ありません!!」


慌てて否定する。私は外見をそこまで重視してないだけで、かっこいいならそっちの方がいいに決まってる。


「それなら良かったわ。湊君も受け入れてもらえそうね」


B専って聞いてくるって事は、息子の見た目がイマイチって思ってるって事よね…。

美咲さんも音ちゃんも美人だから、そう思われてしまうのは仕方ないかもだけど、鷹野君少し気の毒だな。


そんな事を考えていたから、美咲さんの言葉を聞き逃していた。


「よしっ!!この夏の間に杏さんには息子と普通に接してもらえる様になってもらいましょう。音…明日湊君と一緒に新しい家探してきなさい。場所は出来る限り杏さんの家の近く…あと、すぐに入居できる所って条件ね。ついでに音も夏休みはそっちにいなさい。杏さん、音も居るから迷惑でなければ毎日遊びに行ってあげて」


なんだかとんでもない流れになってしまった。

音ちゃんと毎日会えるのは嬉しいけど…彼とも毎日顔合わせる事になる。

色々想像してしまいニヤけてしまいそうになる顔を2人に見られまいと、私はとりあえず俯いた。

この夏…どうか彼に近づけます様に…と願いながら。

いつも読んでくださってありがとうございます。

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