13話 東の青龍VS西の白虎 震えるは南の雀【杏視点】
彼の部屋から聞こえた声の主が、姿を現わす。
その正体は、なんと…こないだの美人さん。
私は驚きのあまり固まってしまう。
なんで彼女がここにいるのっ!?家主不在で部屋に居るって事は…合鍵を持っているって事よね。
その事に気付いた瞬間、何故か胸が痛んだ。
「2人ともそんなところに立ってないで、早く入ったらどう?」
威圧的な彼女の表情と声から察して、私はどうやら歓迎されていないらしい。
自分の男に手を出す女って認識なんだろうな…。
なんだ、彼女がいたんだ…。言ってくれたらよかったのに…。
横目で彼を見ると、なんだか慌てている。その様子を見て、思わず溜息がもれる。
彼に続いて家にあがる。和室にぽつんと置いてあるテーブル。
そこに座らされた。どうやら歓迎されてなくても、座布団ぐらいは出してくれるらしい。
座ると同時に彼女がすぐさま口を開いた。
「早速だけど色々質問するわね。先に言っとくけど、湊は一言も喋らないでね。言葉を発した瞬間、叩き出すわよ」
うわっ…。やっぱ美人って性格キツイんだ。
相手が彼だからってのを差し引いても、正直…引くレベルだ。
「まずは自己紹介するわ。私の名前は鷹野音羽。そこにいる湊の妹よ。高校1年生よ。あなたは?」
「わ、私は広瀬杏です。鷹野君と同じクラスで高校2年生です」
彼女がいきなり自己紹介を始めてきた。私も振られて、慌てて返す。
ん…?今、彼女は何って言ったっけ?私の耳がおかしくなっていないなら、彼女は間違いなく妹って言った!!
彼女じゃなかったんだ…。
彼と全然似てないじゃん、紛らわしいなまったく。
勉強とかで兄妹に偏りが出来るとかよく聞くけど、目の前の2人は、容姿にその差が出てしまったのだろう。
その差が凄すぎて、鷹野君がなんか可哀想に思える。
思わず同情してしまった私に、更に質問が飛んできた。
「単刀直入に言うわね。あなた、湊の何なの?その前に私の湊が怪我してるのだけど何かご存知かしら?」
「わ、私は鷹野君のクラスメイトです、今の所はそれだけです。」
いきなり本題がきた。慌てて返したので少しカッコ悪いけど、それらしい含みのある言葉をしっかり選ぶ事も出来し、及第点かな…。
私のって、なんとなく想像していたけど、彼女ブラコンなんだ。なんだ、残念美人の方か…。
あれ?なんか額に血管浮き上がってる。折角の美人が台無しよ…ふふふ。
だいたい年下のくせに生意気なのよね。
妹かなんだか知らないけど、私に牙を剥くならこっちだって相応の対応をしてあげるわ。
あ、そうそうこないだの事も聞かれてたっけ。
隠し事とか嘘とかって嫌いだから、今度は事実を言った。
あ〜すっきりした。
ってなんで鷹野君が頭抱えてるの!?
「もういいわよ、あなた。金輪際湊に近づかないことを条件に不問にしてあげるわ。話は終わったからもう帰っていいわよ。二度と会う事はないと思うけど、お元気で」
とか好き放題言ってくる彼女。
ふんだ…たかが妹風情に何言われても怯むもんですか。
一生懸命怖い顔して、ビビらせてるつもりなんでしょうね。
なんだか笑えてくる。それを精一杯堪えながら…
「彼には恩があるので、怪我が治るまでサポートするつもりでいます。金輪際近づかないとかそんな約束は出来ません」
と私は返した。
彼女の顔が引き攣ったと思ったら、すごく悪い微笑みに変わった!!
そう…私とやり合いたいのね。お望みなら応えてあげるわ。
私も同じ様に微笑んだ。
場の空気に耐えられらくなった彼が、突然会話に入ってくる。
「そ、そろそろ、お腹空かない?ご、ご飯、ご飯の準備を…」
額に汗をかきながら、彼が言ったその言葉で、私と彼女のファーストバトルは幕を降ろす。
その後、彼女の手伝うという申し出をやんわり断り急いでカレーを作った。
私の作ったカレーを一口食べた後、急いでかきこむ彼。すぐにおかわりをして、またかきこむ。
それにつられる様に、恥ずかしそうにおかわりをしに行く彼女を見て、食い意地は似てるんだな…って思ってしまったのはここだけの話。
その時の私は彼女が特別な存在になるなんて思えるはずもなく、どうしたら彼女を屈服させられるか?
そんな事しか頭になかった…。
とりあえず、次からテーマを変えて書いていきます。
四神の方位間違えてしましたので、それに合わせて10話のタイトル訂正します。
いやー、お恥ずかしい…。




