船長候補の正体ー常務夫婦の秘密の会話
リヒトとレイコの拗れ具合は、レジェンディアより愛を込めてでお読みいただけます。
そして、レジェンディアが晴海に姿を現した。
エリコ常務は、夫のルイを伴って埠頭に向かった。
先程まで、ルイはクルーたちとラウンジでパーティーについて話し合っていたのだが、何やら不機嫌な妻の顔を見て、渋々立ち上がったのだった。
「エリコー、なんでそんなにご機嫌斜めなのさ。」
ヒールの音も軽やかに足早に歩きながら、頬を膨らませて言った。
「だって!日向キャプテンがDMC嫌いなのは分かるんだけど、今更ヴァルナー副長を船長に据えるのが気に入らないって言われても、困るじゃないの!」
「あー、ロイヤルネイビーから招待来たんだって?イギリスってさ、DMCの本拠地でしょ、あそこにクリスタニアを送り込むって、まぁこっちが喧嘩売るようなもんだけど、ロイヤルネイビーからの招待だから、手出しできないよね。心配いらないと思うけどな。」
一度軍から招待を受ければ、船に箔がつく。その船に喧嘩を売れば、軍からも睨まれることになりかねない。
ルイの言っていることは、尤もだった。
「それに、船長に決まったのはヴァルナーでしょ?彼、DMCにいた頃から一目置かれてたんだよね。僕らもそうだったけど。」
エリコはそれを聞いて立ち止まった。
「どういうこと?」
「彼、ドイツのヴァルナー上級大将の息子なんだよ。腕も良いし、DMCのクルーにしては変に騎士みたいだったからさ。ノースレイジアもスカウトしたことあるけど、惚れた船がいないからって断られたことがあるんだ。日本ではどうだか知らないけど、海外クルーズ会社ではある程度知られた話だよ。表に出ないけど。」
エリコは、思い出したように言った。
「ねぇ!ヴァルナー副長、うちの株主のオーガスティア様と付き合ってるっぽいのよ!そのオーガスティア様が、ロイヤルネイビーのハワード提督の養女なの。ということはさ…」
「うまくいけば、ロイヤルネイビーの庇護下になる。BMMもクリスタニアも、DMCが喧嘩売っていい相手じゃなくなるってことだね。」
2人は互いの顔を見合わせて笑った。
当の本人たちは、埠頭に降りても恋人らしい空気などなく、言葉を交わすこともないまま、それぞれの場所へ戻っていたのだった。
常務夫妻は、早い段階でリヒトとレイコをくっつけよう大作戦を考えていたようですね。
クリスタニアはイギリスに無事出港できるでしょうか。




