ゼフォンの朝と本社の朝ーイギリスからの手紙
レジェンディア後半にようやく接続です。
レジェンディアより愛をこめても、併せてお楽しみください
翌日。
清香は、リビングでぼんやりしていた。
夫がモテる男なのは知っている。
夜の街にご贔屓な女の子がいるのも知っている。
どう見ても夜の街で楽しんでいるようにしか見えない夫が、自分のために家を発注していたなんて。
「信じられない。」
清香は、ゼフォンの頭を撫でながら、夫が置いていった新居の資料を眺めた。
「私が欲しいっていっても、買ってくれなかったくせに。
こないだも、帰ってくるって言ったのに、帰ってこなかったくせに。クソ亭主。」
ゼフォンは、清香の首元を不意にベロっと舐めた。
「何すんのよ!」
慌てて首元を押さえて、顔を赤くした清香の顔を、ゼフォンは少しだけベロっと舐めてみた。
ママンとパパンは、きっと仲直りしたんだな。そう思いながら、ゼフォンは清香の膝に頭を置きウトウトし始めたのだった。
その日、晴海本社は朝から大騒ぎだった。
海運統括本部は、葛城本部長が顔ツヤ良く、運航管理部とやり取りをしている。
無駄に元気いっぱいな本部長を眺めながら、陽司はコーヒーを片手に夏海が持ってきたジャーキーを、スナイパーに投げた。
スナイパーは、嬉しそうにバリバリと齧り出す。
「ほら見ろ。やっぱ突撃して正解じゃねぇか…。めんどくせぇ夫婦。」
夏海はそれを聞いて笑った。
「よろしいやないの。本部長、清香はん大好きやから、ほんまに離婚してもうたら、ここの部署は毎日お通夜になるぇ。」
「それもめんどくせぇ。そろそろ、クリスタニア着く頃だな。ところでレジェンディアは?」
「レジェンディアは、あと3時間後に到着やと連絡あったそうや。
それと、クルーズ部門に、えらいもん届いたらしいわ。なんでも、ロイヤルネイビーからやとか。」
陽司は思わずコーヒーを吹き出しそうになった。
「あらあら、ビックリさせてもうたねぇ。」
夏海はハンカチで、陽司の口元を拭ってやる。
「ロイヤルネイビー?」
「エリコ常務が頭抱えてはったよ。クリスタニアが招待受けたって。」
クリスタニアに届いたロイヤルネイビーからの招待。
本社が事情を掴めないまま、レジェンディアは南下を続けていた。
晴海本社に、白薔薇の花びらがいくつも、舞い落ちた。
晴海埠頭が祝福に包まれていた頃、クリスタニアにとって運命の航海が始まろうとしていることは、まだ誰も知らない。
クリスタニアの船長に決まったのはあの人ですが、その頃彼は…




