キャプテンの愛娘ークリスタニア帰港
クリスタニア登場です!
皆様、大きな拍手でお迎えくださーーーい!
三々九度を交わし、神職の仕舞いの言葉をもって式は無事に終わった。
日向キャプテンは、ふと思い出していた。
(クリスタニアを造ることを考えなければ、この時間はなかったかもしれないな…)
そこに秘書たちが走ってきた。
「キャプテン!クリスタニアが晴海に間もなく到着しますよ!」
日向キャプテンは、再び手を差し出した。
「行こう。娘が帰ってくる。」
神職は、子犬を抱き抱えて、巫女たちとニコニコしながら2人を見送っていた。
「娘…ですか。向日葵の愛娘はすぐそばにいるのかもしれませんなぁ。なんとも不思議な縁を運んだものです。」
子犬の頭を撫でていた巫女が、思いついたように言った。
「宮司様!この子、ここで飼えませんか?」
神職は、子犬の前脚を持って、2人に手を振る仕草をさせながら言った。
「いいですよ。これも神様の思し召しですからねぇ。」
「そうだ!この子の名前、なつにしませんか?オレンジ色みたいな毛色だし!」
「なつ…ですか。いいですねぇ。向日葵の愛娘と会える日が楽しみですなぁ。」
一方晴海埠頭では、社員たちがタイミング調整のため、インカムを手にあちらこちらに散らばっていた。
微細な速度調整が必要なため、現場と運行管理部は神経を研ぎ澄ませていた。
「車両出発!到着まで15分!速度そのまま進入を継続せよ!」
『運航管理部了解』
"クリスタニア、こちら運航管理部。エンジン最小。惰性にて進入継続せよ。"
『クリスタニア了解。エンジン最小、惰性にて進入する。』
緻密な速度調整を続け、クリスタニアブリッジからバースがはっきり見え始めた頃。
「あなた!帰ってきたわ!」
少し離れたところに見えるクリスタニアを見つけ、富士崎社長は喜んだ。
日向キャプテンは、その様子をじっと眺めて、あることに気づいた。
「おい、クリスタニアの速度が遅すぎる。船首に何をつけている!どういうことだ。」
その時だった。
"daddy,mammy!
Happy wedding!!"
クリスタニアのスピーカーから聴こた声と共に、一切に長音が鳴り響く。
それも、停泊していた他社船たち、そしてグループのフェリーからもだ。
よく見れば、それぞれに万国旗を飾っている。
富士崎社長は、口元を押さえた。
ゆっくりと近づいてくるクリスタニアの船首や両舷バルコニーには、大きな白薔薇の花輪や美しいリボンが飾られ、風にヒラヒラと揺れている。
すると、どこからともなく、雪のように花びらが飛んできた。
「日向キャプテーン!社長ーーー!おめでとうございまーーーす!!」
クリスタニアクルーたちが、めいめいに籠を抱えて、これでもかと花びらを振り撒いていた。
本来なら回頭して着岸するはずだったクリスタニアは、2人に花輪を見せるかのように、正面から着岸した。
朝の太陽を浴びて、まるで花嫁のように着飾ったクリスタニアは、おとぎ話に出てきそうな優雅さだ。
輝く船体と揺れる白薔薇。
岸壁で待つ係員たちも、思わず見惚れた。
日向キャプテンは、静かに片手を上げ、そしてクルーたちに聞こえるように声を張り上げた。
「この日が始まりだ!私たちの、そしてクリスタニアの!!」
再び汽笛が鳴った。
白い花びらは、いつまでも雪のように晴海に降り続けていた。
過去編も、やっとここまできました。。
そろそろ完結…かなぁ




