光る眼鏡ー本部長の企み
サプライズ大作戦のため、葛城本部長はあれやこれや楽しそうです。
数日してシンガポールに到着したクリスタニアに、本社から指示が飛んだ。
"シンガポール出港後、予定を変更して、神戸に入港せよ。"
その指示をモニターで確認したルイたちは、顔を見合わせた。
「本社。クリスタニア、ルイだ。スケジュール変更の理由は?」
"社長と日向キャプテンが入籍され、クリスタニア帰港のタイミングで式を挙げるそうだ。お二人だけの神前式にするらしいが、クリスタニアはお二人の子供のようなもの。神戸で船体にデコレーションを施し、そのまま帰ってくるようにと、海運統括本部の命令だ。"
「なるほど、それは素敵だ。神戸での時間は?」
"現在のスケジュールなら、朝には到着する。到着し次第すぐに作業開始し、作業終了し次第出航。最大速度で航行せよ。なお、晴海には朝8時到着が望ましい。"
「それなら、こちらの停泊を縮めよう。サプライズは一発勝負だからな。」
"承認する。神戸での手配は全て完了している。到着予定時間を報告してほしい"
「受領した。」
通信を終えると、ルイは言った。
「サプライズだってさ〜。なんかワクワクしないかい?」
「しますね〜♪何します〜?」
三井はワクワクしながら答えた。
クリスタニアブリッジだけでなく、クルーたちは各所に集まってゴニョゴニョと話し合っていた。
あの日向キャプテンに、どうやってサプライズしてやろうか、ということを。
その頃、晴海本社の海運統括本部では、葛城本部長が陣頭指揮を取っていた。
もちろん、日向キャプテン夫妻のサプライズのためである。
「徹底的に隠してください。バースに足場と天幕を張り、作業は完全closedで。」
眼鏡の奥で葛城本部長の目が光った。
日向キャプテンの弟陽司は、そんな上司の様子を見ながら、黙々とパソコンのキーボードを叩いていた。
「陽司くん。」
葛城本部長が、不意に陽司を呼んだ。
「何っすか?」
「キャプテンにバレないように。頑張ってくださいねぇ。」
「どうっすかねぇ。夜のうちに晴海手前まで来て、朝一で動かせばバッチリじゃないっすか?兄貴のことだから、たぶん朝早いでしょうし。」
「それはいいですねぇ。
バレないように、他の船を調整させましょうか。
彼は変なとこで鈍いからね。
ふふふ…」
同じ頃、執務室で日向キャプテンは、大きなくしゃみを続け様にした。
本当に大丈夫か?と言いたげに、カイザーは立ち上がり、ティッシュの箱を咥えて差し出した。
「大丈夫だ、風邪でも引いたんだろう。」
晴海の風は少し冷たい。
カイザーはそのまま、日向キャプテンの足元で丸くなった。
カイザーは警備犬ですが、日向キャプテンをボスだと思っています。
なんだかんだと日向キャプテンのお手伝いをする優秀なドーベルマンなのです。




