嵐のあとでー秘書課と総務部の優先事項
女心が分かってそうで分かってない日向キャプテン。
協調運航は後半戦に進みますが、本社の秘書たちは何やら考えてることがあるようです。
数日して、喜望峰の低気圧は一気に勢力が衰えていった。
それでもまだ980hpaほどはあるが、クリスタニア船団にとっては、大した問題ではなかった。
喜望峰で折り返し、インド洋へ向かいココス諸島付近までクリスタニアが基準船を務める。
補給や低気圧による損傷を受けた船舶の軽微な点検も含め、先行船団との調整がスムーズに進み、VLCC船団にしては比較的早くインド洋を進んでいた。
「ココス諸島までいけば、どうにかなる。日向キャプテンからの指令はできるだけ早くクリスタニアを戻すことだ。ボヤボヤしてられない。」
ルイは、冷たいおしぼりを目元に当てながら言った。
「ルイ、少し休みなさいよ。ここからココス諸島までなら、そこまで悩まないから。」
シンシアはルイに飲み物を渡しながら言った。
足が遅いVLCCに合わせて、クルーズ船が航行するのは、それなりにしんどいものだ。
遥か後方の船団まで気にかけなければいけない上、寄港地のことも考えないといけない。
「そうだぞ。ルイの腕がいいのはよく分かったが、エリコ常務に怒られるからな。」
フレデリクは、コンソールを握ったまま、シンシアに同意した。
「そうするよ。ブリッジクルーも交代で休んでくれ。シンガポールに着いたら一息入れよう。」
その頃本社では、秘書課と総務部が何やら話し込んでいた。
社長夫妻の結婚式のことで、揉めていたのである。
「せっかくの結婚式なのにお二人だけで?」
秘書の一人が眉を吊り上げる。
「いいじゃないですかー。社長は余計な時間使う暇がないし、私たちの仕事増やしたくないって仰ってましたよー?」
総務部は、スケジュールに合いそうな神社のリストをチェックしながら言った。
「だってさぁ、やっとクリスタニア進水で入籍出来たのよ?お祝いしてあげたいじゃないの。どれだけお二人が苦労してきたか、分かってるし…」
別の秘書はボソボソと言った。
「どうせ、日向キャプテンは、そこに時間使うなら別のことに使った方が合理的だ、とか言うでしょ。」
「日向キャプテンは女心が分かってそうで分かってないんだよなー。」
「とりあえずさ、この案件は秘書課と総務部の優先事項ってことで。神社抑えたりするのはこっちでやるから、秘書課は社長の白無垢の手配してあげなよ。」
秘書課と総務部が、あーでもないこーでもないと議論している頃、執務室では日向キャプテンがくしゃみをしていた。
側にいたカイザーは、どうしたのか?と心配するように日向キャプテンの側にやってくる。
「何でもない。誰か噂でもしてるんだろう。」
カイザーの頭を撫でながら、日向キャプテンは言った。
部下たちが、自分たちのために色々サプライズを考えているなど、当然知る由もない。
富士崎社長の白無垢姿を独占したい日向キャプテンと、お祝いしたい秘書課たち。
BMM最強の艦隊統括は、妻の白無垢を独占出来るでしょうか。引き続きお楽しみに。




