操船に必要なのはー2隻のブリッジ
レジェンディアより愛をこめて
で、リヒトの操船シーンがお楽しみいただけます。
低気圧を避けているにも関わらず、クリスタニアたちは、その影響による荒天の中にいた。
雨は滝のように視界を遮り、うねりがじわじわとクリスタニア船団を揺さぶっていく。
超低速で体勢維持に努めていたクリスタニアブリッジだが、視界不良により、目視での波監視が出来ず苦戦を強いられていた。
「いや、参ったね。こりゃ。」
ルイは大きく息をついた。
クリスタニアは、大きな縦揺れで暴馬のように跳ね回る。
「エンジン出力20%上げ。」
「スタビライザー60%展開。」
「了解。出力20%上げ。スタビライザー60%展開。」
「波高5m、周期10秒。」
「船団各船、位置変更なし。」
「各船、そのまま維持。」
コマンドが連続して飛び交う中、ルイはフレデリクを呼んだ。
「ねぇ、フレデリク!!」
フレデリクは腕捲りをしながら近寄る。
「あぁ。代わろう。」
その筋肉を見た三井は目を丸くした。
「やば!なんすか!?その筋肉!」
フレデリクは、コンソールを握りながら得意げに笑う。
「この船を扱いこなすには、これぐらいの筋肉がないとな。」
「フレデリクー。クリスタニアはマッチョ勝負じゃないよー。」
ルイは笑いながら言った。
「いや。クリスタニアはレジェンディアより筋力勝負だ!」
フレデリクは鼻息荒くモニターを見つめる。
「言い得て妙やけど、うちの航海士と船長らん中で、一番マッチョなんこの人やからな。前、自衛官にも“触らせてくれ”言われとったよな。」
通信士の栗栖は淡々と言った。
三井は目を輝かせた。
「すげぇー!それなら、この荒天もへっちゃらっすね!!」
荒天で視界は悪い。
それでも、クリスタニアブリッジはまだ明るかった。
その頃―レジェンディアはー
船が震えていた。
ヘンリー船長はレーダーを見たまま言った。
「流されたままだ」
ミカエラが操船レバーを握りしめる。
「分かってるってば!女王さまが言うこと聞いてくれないんだよ!!」
巨大な船体は、わずかに横へ押されていた。
暴風が船体を叩き、時折り白い波が壁のようにブリッジの窓に打ち寄せた。
船長が短く命じる。
「ヴァルナー。」
ブリッジにいたリヒトが顔を上げた。
「交代しろ」
「了解」
疲労困憊なミカエラに変わってコンソールを握る。
「スタビライザー最大。」
「了解。スタビライザー最大。」
船底のフィンスタビライザーが完全展開し
巨大な水中翼が海を掴み、横揺れを抑える。
「エンジン出力調整。」
「了解。エンジン出力調整20%まで低下。」
「波に正対。」
「了解。波に正対する。」
舵を微調整していく。
「針路、右三度。」
「右三度。」
レジェンディアが、ゆっくり姿勢を変える。
次の波が押し寄せ、壁のような黒い波に、船体は易々と持ち上げられた。
そして―
轟音と共に落ちる。
――ドォォォン!!
だが、今度は違った。
衝撃は、わずかに柔らいだ。
船長が小さく頷く。
「よし。このまま立て直せ。」
リヒトは前を見たまま答える。
「このまま維持します」
猛烈な波と戦っていた。
クリスタニアは、最新鋭の様々なシステムを搭載しているほか、レジェンディアよりも大きな95000gtクラス。
操船は、クリスタニアよりも比較的しやすいかも。
対してレジェンディアは、システムは更新済みですが、そもそも20歳を超えているため、操船はレジェンディアの方が大変なのです。




