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Blue Ridge Saga —クリスタニアの過去  作者: おーがすてぃーぬ


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本社ルールー秘書たちのフォーメーション

BMM本社暗黙のルール


社長夫妻が本邸で過ごす時は絶対邪魔をしてはいけない、というもの。なぜなら…

ポートルイスとダーバンの二手に分けて補給を行うことになったクリスタニア船団。


15日ほどして、ポートルイスに着岸したクリスタニアは、その間に荒天時対応を進める。


喜望峰の低気圧の中心気圧は957hPaまで下がっていた。

「957か…。無理だな。」


フレデリクは紅茶を飲みながら波高シュミレーターを眺めていた。


「グループを3つに分けて沖合退避させよう。ポイントはここと、ここ。それにここだ。」


ルイは地図を指し示した。


「近づかない方が正解ね。VLCCたちを二手に分けるの?」

シンシアは尋ねた。


「965くらいまで落ち着いたら、VLCCたちを二手に分けようと思うんだ。クリスタニアだけなら速度落として突っ込んでも大丈夫だけど、数が多いからね。リスク分散させなきゃ。」


「よし、それでいこう。運航管理部に報告だけしておく。」



この頃、本社では、フロアの花を活け直す富士崎社長と総務部の社員たちの姿があった。


「残った花はポプリにしましょう。あ、このラベンダーは私もらっていってもいいかしら。本邸で使いたいの。」


美しく整えられた花々を見ながら、社員たちと楽しそうに笑っていた。


「明日から休日ですし、本邸にお戻りになられますか?」


「えぇ。このところ忙しかったでしょ?だから、たまには主人にお茶を立ててあげようと思って。」


「キャプテン喜びますよ!そういえば、そろそろキャプテンお誕生日じゃないですか?何かプレゼントを?」


富士崎社長は花を纏めながら笑う。


「考えてあるわ。でも内緒よ。」


「素敵ですね!じゃ、今週末はゆっくりデートですね!私、これ片づけてきますね!」


 

運航管理部のフロアから執務室へ移動していた日向キャプテンは、フロアラウンジのテーブルで花を纏めている富士崎社長を見かける。


日向キャプテンは静かに歩み寄り、飾られた花を眺める。


「相変わらず見事なものだな。」


「まだまだよ。本邸の花も活け直さないと。」


「そろそろ本邸の薔薇が見頃だな。今夜はゆっくり花見酒でもどうだ?」


富士崎社長は一瞬手を止めた。


「いいわね。今夜は早く帰って準備をしておくわ。」


「あぁ……頼む。」


「早く…お戻りになってね。」


富士崎社長は、肩に乗せられた日向キャプテンの手に、そっと手を重ねた。

 

その様子を遠くから見ていた秘書たちは、顔を見合わせて頷いた。


「月曜日は社長は午後から。」

「連絡は緊急以外NG。」

「バッチリよ。今夜は私たちも早く帰りましょ。」

「オッケー!月曜日は、私スケジュール組み直すから、これとこれを通達してきてくれる?」


「よし、あと1時間でやるわよ!」


社長と日向キャプテンが早く帰る日、特に本邸に帰る日は絶対に連絡してはいけないルールだ。

その分、社員たちも家族行事を優先出来ることになっているため、社内で1番平和な日でもあった。


 

ただし――運航管理部を除いては、であるが。



「リトルベアはレジェンディアと合流出来たか?」


「大丈夫そうです。あちらの船団は面倒見がいい船ばかりだから、リトルベアの面倒も見てくれますよ。」


「そうだな。……そろそろ夜食が届く時間だな。よし。交代で飯にしよう。」


 

運航管理部の夜は長い。

そして、日向キャプテンの夜も長い。

BMMには家庭行事を優先してよい、というルールがあります。

さらに、福利厚生として、残業や当直の社員には食事もでます。帰りが遅くなる社員のために、ビル内に宿泊区画があるので、緊急時や降雪台風などでも社員たちは無理せず仕事が出来るのです。羨ましい…

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